子供や親族以外の後継者が増加中 後継者不在企業は66.4% 帝国データバンク調査
2018年11月14日 20:35
帝国データバンクの調査によると、後継者が不在の企業は66.4%となり、ほぼ横ばいが続いていることが分かった。また最近の傾向として、子供や親族が後継者となる割合が減っていることも判明した。
【前回の調査は】企業の3分の2で後継者不在 北海道は7割以上に
■後継者不在率は66.4%
13日、帝国データバンクが、全国「後継者不在企業」動向調査(2018年)を発表した。これは、同社のデータベースから2016年以降の事業承継の実態について分析可能な約27万6千社を調査したもので、今回で5回目となり、前回は2017年11月に行われている。
対象となった約27万6千社における後継者不在率は66.4%で、前回(2017年)調査の66.5%から微減。初回(2011年)の65.9%から、65.4%(14年)、66.1%(16年)、66.5%(17年)、そして66.4%(18年)と、ほぼ横ばいで推移している。
■代表者が80代以上の企業も3割が後継者不在
後継者不在率を現在の代表、つまり社長の年代別で分けると、30代未満では94.1%、30代では92.7%、40代が88.1%と、若い層では後継者が不在、と言うより未決定の企業が多い。
一方、50代では74.8%、60代では52.3%、70代では42.0%と、代表者の年齢が上がるにつれて後継者不在率は下がっている。ただし、80代以上でも33.2%の企業で後継者が不在となっていることも明らかになった。
■沖縄県が83.5%でトップ
都道府県別で後継者不在率が最も高かったのは沖縄県で83.5%。以下、山口県(75.0%)、神奈川県(73.8%)、北海道(73.5%)、広島県(73.2%)と続く。逆に後継者不在率が低かったのは、佐賀県(43.2%)、香川県(43.5%)、和歌山県(44.9%)、徳島県(46.3%)、宮崎県(47.3%)などとなっている。
沖縄県が頭ひとつ飛び出たことについて、「沖縄県では、ベンチャー企業をはじめとした創業年数が比較的若い企業や、沖縄県の本土復帰に伴い創業した企業なども多く、他地域に比べ事業承継を経験した機会が比較的少ないことも背景にある」と指摘している。
■サービス、建設、不動産で後継者不在率が高め
業種別の後継者不在率では、サービス業(71.6%)、建設業(71.4%)、不動産業(68.9%)などが高め、その他(56.1%)、製造業(59.04%)、運輸・通信業(63.7%)などが低め。また、従業員数、売上高、資本金別では、押しなべて規模の小さい企業で後継者不在率が高くなっている。もちろん起業したばかりの若い企業も少なくないと考えられるが、特に売上高5,000万円未満の企業では、サービス業で85.5%、建設業で84.1%、卸売業で82.5%、運輸・通信業で81.3%の起業が後継者不在となっている。
■同族継承が減少中
後継者候補の属性で最も多かったのは子供の39.7%(前回比:0.7ポイント減、以下同じ)、次いで非同族が33.0%(1.5ポイント増)、親族が20.7%(0.2ポイント増)、配偶者が6.5%(0.9ポイント減)だった。
現社長の年齢が高い企業では、子供を後継者としている割合が高いが、社長の年齢が下がるにつれて、親族や非同族を後継者とする割合が高くなっている。近年では、同族継承が減り、内部昇格や買収、分社化に伴う社長就任など、全体の半数超で親族以外が事業を承継しているという。(記事:県田勢・記事一覧を見る)