コメの消費、減少続く 食の多様化要因
2018年11月14日 09:24
日本ではコメが主食の一つであることに疑問の余地はないだろう。しかし近年「コメ離れ」が著しい。コメの消費の急激な減少に加え、食文化の多様化、後継者不足とこれまで日本の農業を支えてきたコメの受難が続いている。
現在に至るまで日本は世界的に見てコメをよく食べる国であることは言うまでもない。とはいえ1年間あたりのコメの消費量は1963年に118.3キログラムとピークを迎えてから減少を続けている。2016年度にはピーク時の約半分の約54キログラムにまで落ち込んだ。1日の一人あたりのコメの消費量を比較した調査では日本は世界ランキングでなんと50位となっている。世界でもっとも消費量の多いバングラデシュと比較すると約4分の1だ。
では一体なぜこれほどまでにコメ離れが進んでいるのか。もっとも大きな理由は食文化の多様化だろう。パンやパスタなどを好んで食べる若年層は増加の一途をたどり、コメ離れが顕著だ。コメは炊くのに時間がかかるうえ、主菜や副菜を準備しなければならない。一方でパンの場合は主菜を準備する必要がなく、時間がない時にはパンで済ませてしまうというビジネスパーソンも多いのだ。農林水産省が2015年10月に行った食生活調査では、20代男性の約2割が1ヶ月間コメをまったく食べなかったという結果も出た。女性の中にはコメを食べると太りやすいという理由からコメを敬遠する傾向も見られる。こうした食文化の多様化に加え、コメ農家は後継者不足にも直面している。若者の多くが薄利の農業を継ぐことなく都市部で仕事に就いてしまうのだ。後継者不足を理由に廃業するコメ農家も少なくない。
こうした事態を受けて、国も補助金の増額やUIJターンを支援などによって農業の推進を図ってはいるが今のところ効果は限定的だ。コメの消費量が9月や10月に増加し、1月に減少するという傾向があることを考えると、コメの需要を伸ばすための対策を見つけることは可能と言えるだろう。農家や自治体、国が知恵を絞って、日本の主食であるコメの復権を果たすことを期待したい。(編集担当:久保田雄城)