数千人の保育園入所選考を数秒で終えるAIソフト、富士通が提供開始

2018年11月13日 18:31

 富士通は12日、AIを用いて自治体の保育業務を支援するソフトウェアを開発、提供開始すると発表した。このAIソフトを用いれば、ときに1,000時間以上かかる数千人規模の保育園の入所選考を数秒で終えられるようになるという。選考の手間と時間は大幅に削減され、職員の業務効率化、住民サービスの向上が見込めるとしている。

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 保育園の入所選考は複雑な仕組みのもとおこなわれている。例えば東京都品川区では、限られた枠を超えて入所希望者が現れた場合、保護者の就労状況など様々な要素を指数化し、その指数の高い者を順に入園内定者としている。この指数は基本指数と調整指数から成り立つ。

 保護者の就労は月何日で日中何時間か、また妊娠・出産、怪我や病気、障害、介護などの有無もしくは程度にしたがって数値が定められており、その合算後の値が基本指数となる。さらに生活保護世帯やひとり親世帯など一定の条件を満たす状況にあるときには、各状況に対して個別に設定された調整指数が加算される。

 AIソフトはこのような選考基準となる情報や保育所の空き定員情報などを取り込み、できる限り入所希望者の要望に応えられるよう選考する。そうなれば選考作業は従来よりずっと簡略化され、保護者への決定通知といった対応も迅速におこなえるようになる。

 加えて入所選考結果に対してその理由を説明する支援機能を有するため、選考過程の透明性も高い。選考結果について問い合わせがあった場合でも円滑な対応が可能だ。

 すでに滋賀県大津市をはじめ30以上の自治体で実証が行われており、同市は2018年度中に導入する予定である。次いで東京都港区も2019年度中の導入を検討中だ。販売目標は2020年度までに関連ビジネス累計売上約20億円で、価格は個別見積もりとなっている。(記事:小椋恒示・記事一覧を見る

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