イオンと中部電力、卒FITの余剰電力を2019年からイオングループ店舗で利用
2018年11月13日 08:29
イオンと中部電力は12日、国が導入した固定価格買い取り制度(FIT)が終了した家庭の太陽光発電で出た余剰電力をイオングループの店舗で使用する方針を明らかにした。2019年11月以降、中部地区でスタートし、提供された電力量に応じてイオングループの電子マネー「WAON(ワオン)ポイント」と交換する。
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対象となるのは、国が太陽光発電普及のために設けた固定価格買い取り制度が終了した中部地方のいわゆる卒FITの家庭。太陽光発電で生まれた余剰電力を中部電力に提供すれば、電力量に応じたワオンポイントを受け取る仕組み。ワオンポイントとの交換比率については今後決める。
提供された電力はイオングループが中部地方で営業するマックスバリュなど約1,200店で使用する。店舗営業で排出する二酸化炭素を削減するのがイオンの狙いで、卒FITで売電先を失う家庭用太陽光発電の余剰電力を有効利用する。
イオンは「脱炭素ビジョン2050」を掲げ、2050年までに店舗で排出する二酸化炭素を総量でゼロにする目標を打ち出している。その中間目標として2030年までに店舗で排出する二酸化炭素を2010年比で35%削減することにしている。卒FITの太陽光発電は目標達成に大きな力になると期待している。
国の固定価格買い取り制度は家庭用太陽光発電の場合、10年で終了し、大手電力の買い取り義務がなくなる。2019年11月から全国で卒FITとなる家庭が出るが、中部電力管内では約10万件の卒FITが見込まれている。
中部電力は卒FITの電力をさまざまな形で取引できる「これからデンキ」のサービスを始める計画で、スタートに向けた準備を進めており、今回の事業は「これからデンキ」のサービスの1つになる。
イオンは再生可能エネルギーを無駄なく活用するため、卒FIT電力の活用を他の地域でも進めたい考え。既に近畿地区で関西電力と活用に向けた協議を始めているほか、今後他の大手電力とも協議に入る考えを示している。(記事:高田泰・記事一覧を見る)