本州からの外来カエルが北海道のカエルを死に追いやっている 北大の研究
2018年11月11日 21:27
国内外来種という概念がある。日本国内の(同様の問題は日本以外でもあろうが、ここでは日本に絞って話を進める)特定の地域にいない生物を、人間が別の地域に持ち込むことを言う。その一種に、本州から北海道に移入されたカエルの一種、アズマヒキガエルがいる。このアズマヒキガエルには強い毒があり、北海道の在来のカエルであるエゾアカガエルや、あるいはエゾサンショウウオの仲間などを死なせてしまうことで問題になっていると、北海道大学が報告している。
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北海道大学北方生物圏フィールド科学センターの岸田治准教授と北海道大学大学院環境科学院のEvangelia Kazila修士課程修了生が、アズマヒキガエルの幼生を食べたエゾアカガエルとエゾサンショウウオが高確率で中毒死することを明らかにしたのである。
日本が孤立性の高い列島国家であるという事情もあるだろうが、外来種というと普通国外からやってきた生き物であるというイメージがある。実際、マスメディアなどで大きく取り上げられたセアカゴケグモ、ヒアリなどみなこの類である。
だが考えてみれば日本国内全部に同じ生き物が同じように暮らしていたはずもあるまいし、日本国内同士での生物の侵略的外来の方がずっと頻度や影響の範囲は大きいものと考えられる。ただ、これまで日本の国内外来種の脅威について取り扱った研究はほとんど存在していなかった。
さて、アズマヒキガエルは春に山間や川沿いの池に産卵し、オタマジャクシとしての期間をそこで過ごす。北海道においてはそのような環境はエゾサンショウウオやエゾアカガエルがもともと暮らしていたエリアである。その三者関係について、この三種の生物のサンプルを取り、水槽で行ったのが今回の研究である。
実験の結果、ヒキガエルが1匹捕食されることによってエゾサンショウウオは平均0.4匹死に、エゾアカガエルは約2.0匹死んだ。当然、野生でもこの影響関係はこれに近い物があると考えられ、ここに国内外来種の脅威がひとつ実証されたのだ。
なお、研究の詳細はFreshwater Biology誌に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)