転職はハンデにならない 変わりつつある日本人の働き方

2018年11月7日 08:54

 日本に住む人々にとって、終身雇用はこれまで当たり前の働き方として受け入れられてきた。最初に入った会社で定年まで勤める事を最良と考える風潮があり、就職ではなく就社であると皮肉を交えて言われる事もしばしばだ。

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 しかし近年、日本でも終身雇用に対する価値観が変わりつつある。企業によっては年功序列型の賃金制度が保証されないケースも増加し、一つの会社で長年労働に従事したからと言って確実なメリットを受けられる訳ではなくなってきた。相応の年齢に達したところで給料は上がらず平社員のまま昇進する見込みもなければ、より良い条件を求めて他の企業に移った方が得なのではないかと考える若者も増えている。

 厚生労働省が2017年に行った雇用動向調査によれば、転職後に賃金が増加した人の割合は36.2%にも及んだ。転職後に賃金が減少した人の割合は33.0%であり、増加した割合が減少した割合をやや上回っている。かつては転職して成功する事はないと思われる傾向が強かった。しかし近年の状況を見る限り、転職が将来的なハンデになるとは限らないと言えるだろう。

 転職サービスDODAが20代から60代の会社員に行ったアンケートによれば、56.4%もの人が転職をポジティブな行動として捉えている。49.9%は理想的な働き方を現在の職場でできていないと回答し、転職を検討している人の比率も約3割にのぼった。

 同調査によって20代の若い世代はプライベートを重視できる働き方を、50代では仕事へのやりがい重視が可能な働き方を希望している事も判明した。世代によって働く事に対する意識的な差がある事も窺えるが、自分自身の価値観に基づく最良の働き方を望んでいるのはどの年代でも同じである。その実現方法の一つとして、多くの人が転職という行動に期待感を向けている。

 就職売り手市場と言われる近年の採用状況も手伝い、転職希望者が今後ますます増加していく可能性は高い。現在勤めている企業に対する余程の思い入れや、手がけている仕事への大きなやり甲斐でもない限り、より良い条件や得られる利益の増加を求めて転職検討者が多くなるのも当然の流れである。

 働く上での選択の幅は決して狭いものではない。現在の勤め先が自分にとっての最良でないなら、転職によってより良い条件を望む事もできるだろう。(編集担当:久保田雄城)

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