オリックス、新規投資・M&A戦略で多角化事業を強化
2018年11月5日 16:43
オリックスは10月26日、連結子会社で株式の約78%を保有する大京へ株式公開買い付けを行い、完全子会社にすると発表した。
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オリックスでは、オフィスビル、ホテル、賃貸マンション、商業施設、物流施設などの不動産事業を手掛けており、一方大京はライオンズマンションなどマンション開発を行っている。完全子会社化で経営を一体化することにより、大型都市開発や海外展開などでの相乗効果が期待できる。
オリックスは、日本でのリース産業の将来性に着目して日綿実業(現双日)と三和銀行(現三菱UFJ銀行)を中心に、3商社、5銀行により1964年に設立された。
リース会社として出発したが、商品やサービスを多角化し、貸付金やコンピューターのオペレーティングリース、船舶リース、航空機リース、車リース、レンタル、信販など隣接部門に次々進出し、専門性を獲得することにより順調に成長してきた。
リースで培われた「金融」の専門性は、融資、投資、生命保険、銀行、資産運用事業へと、「モノ」の専門性は自動車関連、不動産、環境エネルギー関連事業へとそれぞれ広がり、現在は、法人金融、メンテナンスリース、不動産、事業投資、リテール、海外事業の6部門で多角化事業を展開するオリックスの動きを見ていこう。
■前期(2018年3月期)と今上期(2018年4-9月期)実績
前期営業収益は2兆8,628億円(前年比2%増)、純利益は4期連続最高益更新となる3,131億円(同15%増)で、部門別の事業管理をするため営業外損益、特別損益も考慮した部門利益は前年よりも83億円増の4,291億円(同2%増)であった。
前期部門利益増加の主な要因としては、法人金融部門で有価証券・関連会社株式の売却益増加112億円、事業投資部門で関西・伊丹空港運営のコンセッション利益拡大と大口の不動産売却益などで111億円、リテール部門で銀行住宅ローンと生命保険料収入の伸長により17億円の増益があったのに対し、不動産部門で前期大口賃貸不動産売却益発生の反動で105億円、海外部門で海外比率17%の中前期に比較して期末時点での円高(1ドル112円->106円)などにより57億円の減益があったことによるものである。
今上期営業収益は1兆2,620億円(同17%減)、純利益は1,550億円(同7%減)で、部門利益は2,233億円(同11%減)であった。
■今期の推進戦略
純利益年間成長率4~8%、自己資本利益率(ROE)11%以上、信用格付A格確保を目指して、新規投資、M&A戦略などで多角化事業を強化する。
1.アセットマネジメント事業の強化
米国のNXT Capital社を8月末に950億円で買収。
2.航空機リース事業の強化
世界第3位の航空機リース会社Avolon社の株式30%を11月に2,500億円で取得し、メーカーから直接飛行機を購入、リースを行うプライマルマーケットへ進出。
3.大京の完全子会社化により不動産事業のグローバル強化
グループ一体のビジネスにより、大規模プロジェクトへの参画、M&A、海外展開の加速。
4.環境エネルギー事業の強化
再生可能エネルギー発電所の運営・管理・保守会社を設立し、ロンドンに拠点を設け、海外でのM&Aを推進。
社会や市場の変化に対応し、新しい価値を創造して多角的なポートフォリオの最適化を図るオリックスの動きから目が離せない。(記事:市浩只義・記事一覧を見る)