仏領ニューカレドニア、フランスからの独立を住民投票で否決

2018年11月5日 11:33

 ニューカレドニアの住民は、フランスからの独立を否決した。南太平洋のフランス特別自治区ニューカレドニアで11月4日、独立の是非を問う住民投票が実施されたが、投票率約80.6%、賛成43.6%、反対56.4%という結果に終わったのである。

 ニューカレドニアは、ニューカレドニア島(同地では“本土”とも呼ばれる比較的大きな島)とその周辺のロワイヨテ諸島からなる、フランスのいわゆる海外領土である。その美しい珊瑚礁は世界遺産登録も受けており、日本人の耳にはリゾート地としての親しみが強いであろうかと思われるが、実は豊富なニッケルを産出する鉱業の島でもある。

 小さな島というイメージを持たれるかもしれないが面積は1万8,575平方キロメートル、だいたい四国と同じくらいはある。首都はヌーメアにあり、人口は27万人ほど。

 GDPは111億ドルとされており、仮にこのまま独立して世界のGDPランキングの中に並べたとすると、60位前後となる。

 さて、このニューカレドニアの独立運動は1960年代頃に始まった。世界的にもかつての西欧列強による植民地支配が全地球的に崩壊していった頃の事であるが、ニューカレドニアにはカナックというメラネシア系の先住民がいて、現在は落ち着いているものの、一番ひどかった1980年代頃にはほとんど暴動か内戦かという状況にあったという。

 フランスのマクロン大統領は住民投票の結果を受け、これを歓迎する声明を発表した。しかし「反対が7割に達する」という予測を退けての賛成43%という結果は、今後のカナックの活動の活性化にもつながりかねないという懸念はある。

 ちなみにニューカレドニアのニッケル鉱業は世界第5位、日本のニッケル鉱石輸入のうちの約50%はニューカレドニア産である。今のところ大きな動きはなさそうだが、情勢の安定を願ってやまない。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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