特許庁、ロックバンド「ブラック・サバス」は日本で著名ではないと判断

2018年11月3日 21:07

hylom 曰く、 特許庁が英ロックバンドBlack Sabbath(ブラック・サバス)について、「日本では著名ではない」との判断を行ったそうだ(Yahoo!ニュースの記事不服2017-650015)。 ブラック・サバスは1968年にオジー・オズボーンとトニー・アイオミ、ギーザー・バトラー、ビル・ワードが結成したロックバンド。過去にロニー・ジェイムズ・ディオやイアン・ギラン、コージー・パウエルといったハードロック界の著名プレイヤーが参加し、多くのアーティストに影響を与えている。ただし、これらの名前にまったくピンと来ない人は少なくないと思われ、その意味では「日本では著名ではない」と言われてもおかしくないかもしれない。 ちなみにこの商標紛争は、ブラック・サバスのメンバーが日本で商標登録出願を行った際、メンバー3名のうち2名の同意書しかなかったために「グループ全員の同意を得たものとはいえない」として拒絶されたのが発端となっている。商標法第4条第1項第8号では「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)」について商標登録を受けることができないとされており、当初はメンバー全員の同意を得ていないことがこれに該当すると判断されたという。ただ、その後「ブラック・サバス」は「著名な雅号、芸名若しくは筆名」に該当しないとの判断が下され、その結果メンバー全員の同意なしでの商標登録が認められたとのこと。

 「BLACK SABBATH」の商標は2000年に初めて米国で登録されており、所有者はアイオミ(Anthony Frank Iommi)一人の名義になっている。アイオミは一度も脱退することなく活動を続けている唯一のオリジナルメンバーであり、バンド名の権利はすべて自分が持っていると主張していた。これに対し、オズボーンが2009年、バンド名の権利はオリジナルメンバー4人が均等に所有すべきだと主張してアイオミを訴え、その後和解に達している。

 和解の条件は公表されていないが、2015年に各国で出願された商標は今回問題になった国際商標を含め、すべてアイオミとオズボーン(John Michael Osbourne)両方の名前が所有者として記載されている。今回の商標出願および審決時点でのメンバー3名は全員がオリジナルメンバーだったものの、長期にわたってメンバーが変遷してきたバンドでは、その時点のメンバー全員の同意が必要だとした原査定には無理があったのではないだろうか。そのため、基準のあいまいな「著名」を都合よく解釈して解決したようにもみえる。

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