NYの視点:米中首脳会談に期待再燃、人民元は節目7.0手前から大幅反発
2018年11月2日 08:06
*08:06JST NYの視点:米中首脳会談に期待再燃、人民元は節目7.0手前から大幅反発
米国のトランプ大統領は1日にツィッターで、中国の習国家主席と電話会談を行い長時間にわたり多岐にわたる議題を協議したことを明らかにした。中国国営中央テレビも会談を確認し、習主席が「トランプ米大統領とのG20での会合を心待ちにしている」とし、米国との貿易摩擦解決に意欲を示したと報じた。
今月末にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会合における米中首脳会談に向け、トランプ大統領は「良い議論ができた」とし、結果に期待感がひろがった。トランプ大統領はすでに、もし、米中首脳会談が決裂した場合、全中国輸入品に追加関税を賦課する断固とした計画を表明している。
米国は現状で2500億ドル規模の中国輸入品に関税を課している。500億ドルに対しては25%、残り2000億ドルに10%の関税を課しているが、来年には25%に引き上げる可能性も警告している。中国も全米国輸入品に報復関税を実施。しかし、米中貿易戦争でレバレッジの少ない中国は人民元安などでも対応していると見られている。人民元は対ドルで、ほぼ10年ぶりの安値を更新。重要な節目である7.00を前に、1日に中国人民銀行の措置を受けて大きく反発したことも、米中会談に向けて良い兆候と受け止められた。米中貿易摩擦が強まる中、トランプ政権は中国が人民元を操作し輸出に有利になるよう引き下げていると度々非難してきた。
中国の第3四半期国内総生産(GDP)や最新の製造業、非製造業PMIが予想を下回るなど、米国の関税の影響が少しずつ中国の経済指標に反映し始めた。10月に入ってその流れがとまったものの米国の株式相場が過去最高値を更新する一方で、中国の株式相場は今年に入り下落基調にある。米中貿易戦争では米国の勝利との見方も少なくない。11月の米中首脳会談が成功し、米国がより良い貿易協定締結で中国と合意した場合、米国経済のさらなる成長やドルの上昇が見込まれる。《FA》