中小企業の65.1%が人手不足、過半数の企業で経営に悪影響も 商工中金調査
2018年11月2日 18:48
商工中金の調査によると、中小企業の65.1%で人手不足となっており、過半数の企業で人手不足により悪影響が出ていることが分かった。
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■中小企業の65.1%が人手不足
1日、商工中金が「中小企業の人手不足に対する意識調査」を発表した。これは、同社と取引のある中小企業1万105社を対象に郵送でアンケートを行い、回答のあった4,746社分を集計したもの。「大幅に不足」が9.3%、「やや不足」が55.8%で、「不足」の合計は65.1%だった。また、「適正」が31.0%、「過剰」が3.8%、「大幅に過剰」が0.1%となっている。
■人手不足が拡大中
2011年に行った同様の調査(不足、適正、過剰の3分類)では、「不足」が14.6%、「適正」が70.8%、「過剰」が14.5%。2017年調査では、「大幅に不足」が7.1%、「やや不足」が51.5%、「適正」が35.7%、「やや過剰」が5.4%、「大幅に過剰」が0.2%だったため、人手不足が広がっていることが分かる。
■従業員数の多い企業でより人手不足に
従業員の規模別で見ると、10人以下の企業では「大幅に不足」は5.1%、「やや不足」が39.5%となっている。以降、従業員数が増えるに比例して不足と答えた企業の割合が増え、101人以上の企業では「大幅に不足」が13.8%、「やや不足」が65.4%にまで増える。逆に「やや過剰」「大幅に過剰」と答えた企業の割合は、いずれの従業員数でも3~5%と大きな差は見られなかった。
■飲食店・宿泊業では80%が人手不足で悪影響あり
人手不足により、企業経営に「深刻な悪影響が出ている」と答えた企業の割合は5.2%、「一定の悪影響が出ている」が52.4%、「悪影響は出ていない」は42.4%だった。
業種別で悪影響が出ていると答えた企業の割合が最も高かったのは、飲食店・宿泊業(深刻な悪影響が出ている:14.5%、一定の影響が出ている:65.5%、以下同じ)だった。他の業種では、運輸業(9.9%、62.9%)、食料品製造業(6.1%、60.6%)、輸送用機械製造業(6.0%、62.7%)、建設業(5.7%、59.7%)、小売業(5.7%、57.9%)などが高め。
■人手不足の対策は?
人手不足への対応で最も多かった対策は、「従業員の能力向上」が46.0%。以下、「職場環境の改善」(35.1%)、「賃上げ等雇用条件の改善」(31.8%)、「高齢者の採用拡大」(29.7%)、「外注の拡大」(27.5%)、「業務プロセスの効率化」(27.2%)、「定着率向上」(25.0%)、「省力・省人化」(22.9%)、「従業員の兼任化」(18.4%)、「女性の採用拡大」(17.8%)、「定年延長・廃止」(17.8%)、「外国人の採用拡大」(11.8%)、「パート・非正規の正社員化」(10.1%)などとなっている。
その中でも、「省力・省人化」(製造業:42.1%、非製造業:13.2%、以下同じ)や「外国人の採用拡大」(21.1%、7.0%)は、製造業で回答した企業の割合が非製造業を大きく上回った。反対に、「職場環境の改善」(33.9%、35.6%)、「定着率向上」(23.0%、26.0%)、「女性の採用拡大」(17.2%、18.1%)、「定年延長・廃止」(12.8%、14.1%)では、非製造業が多めとなっている。(記事:県田勢・記事一覧を見る)