【中国の視点】トルコ、サウジ人記者の殺害問題でなぜ強硬な姿勢
2018年10月26日 09:47
*09:47JST 【中国の視点】トルコ、サウジ人記者の殺害問題でなぜ強硬な姿勢
トルコのエルドアン大統領は23日、今月トルコのサウジアラビア総領事館で殺害されたサウジアラビア人記者ジャマル・カショジ氏について、政治的殺人だと発言した。また、この案件を徹底的に追究することや、サウジ政府に対して全容疑者の引渡し、トルコのイスタンブールで裁判にかけることなども強調した。
一部メディアによると、トルコ当局はカショジ氏案件の捜査を急ピッチで進めているという。また、トルコに協力するため、米中央情報局(CIA)のハスペル長官もトルコに向かったと報じられた。
中国の専門家は、トルコがカショジ記者の案件で強硬な姿勢を示していることについて、米国に圧力をかけるためだとの見方を示した。エルドアン大統領の発言後、トランプ米大統領も発言内容を変更し、カショジ記者の殺害は「史上最悪の隠ぺい工作」だと語った。米連邦議会は11月上旬にも中間選挙を行う予定で、この案件の長引きは米国の内政に不利な上、米国がサウジに向けた武器の売却契約にも影響を与える可能性があると指摘されている。
米国とトルコの関係は直近数年でギクシャクしている。トルコは2016年のクーデターの黒幕としてイスラム教指導者のギュレン師の引渡しを米国に求めたが、米国から積極的な回答はなかった。米国はトルコ産鉄鋼やアルミ製品に対して輸入関税を上積みしたほか、トルコ当局が米国人牧師アンドルー・ブランソン氏を逮捕した理由でトルコに対して経済制裁を実施。トルコ国民を対象に実施した世論では、トルコリラや株式市場の下落などについて、米国による制裁が主因だという結果が示された。《AN》