農林水産省、気候変動後も持続可能な農業を検討へ
2018年10月25日 14:38
日本では近年、各地で豪雨や台風での被害が相次いる。日本が台風の多い気候風土であることは周知の事実だ。しかし近年、集中豪雨が増えている傾向にあるのは地球規模の気候変動により、日本がだんだんと亜熱帯気候に近づいている表れという説もある。台風に加え、豪雨が増える状態が、一過性のものなのか、今後は常態化するのかは専門家の間でも意見が別れるようだが、農産業を指導する農林水産省は10月19に「日本が気候変動後も持続可能な農業」を検討する検討会を設置した。政府も今後、日本の亜熱帯化を懸念し、具体的に行動を起こした形だ。
検討会の第一回の議題は以下の2点に決まった。
・農業と気候変動の、国際的な状況の確認
・日本の保有する技術、ノウハウについての確認と検討
今回発足した検討会の中には、日本の農業と食品産業の発展を目的とした、「農業・食品産業技術総合研究機構」のメンバーも何人か含まれている。この機関は2018年8月に、高濃度CO2の条件下でもコメの生産量を増やす形質を特定したことで有名だ。
■農業の現場ではすでに切実な問題に
近年頻繁に起こる異常気象による農業への影響は、多くの現場ですでに頭を抱える問題となっており、日本各地で異常気象による作物の不作や、強い台風による被害が後を絶たない状況だ。
農産業の現場では異常気象や天災のリスク管理が切実に求められる認識が深まっている。そして農産業の推進と発展は温室効果ガスの排出を促す結果に繋がるのも厳然たる事実だ。
農業の進歩と環境問題は密接に関連し合う問題でもあり、これらはできる限り一体化して対策を講じる体制が望ましい。今回の検討会の発足はそれらの問題を内包し、これからの日本の農業を長期的な目線で安定化させるための、第一歩となることが望まれる。
■海外でも始まる気候変動に対応した農業を支える動き
今回の農林水産省による検討会の発足に先立ち、2018年7月に、アルゼンチンで開催されたG20の農業大臣会合で、食料システムの安定化を前提とした農業が、気候変動に与える影響を国際レベルで解決に取り組むことが合意されている。この合意により、国際的なパートナーシップによって、気候変動が農業に与える問題に対応することができる土台が作られた形だ。
近年の気候変動による環境の変化で日本の農業は大きな影響を受けているが、じつはその状況は世界各地で起こっている。農産業の発展と安定は食料を安定的に供給するための大切な技術分野であり、決して一枚岩ではない地球人類の間でも共通の目標なのだ。