【2019春夏東京ファッションウィーク ハイライト6】「TOKYO FASHION AWARD」発表や顧客参加イベント

2018年10月21日 17:29

 アマゾン ファッション ウィーク東京2019年春夏コレクション最終日。「TOKYO FASHION AWARD」第5回受賞デザイナーの発表や、藤原ヒロシ氏とポケモンの合同プロジェクト公開、ラフォーレ原宿40周年記念イベントなど、コレクション発表以外の話題も多い1日となった。そんな中ランウェイのフィナーレを飾ったのは、シュエ・ジェンファンによる「ジェニー ファックス」だ。

ジェニー ファックス(JENNY FAX)  「ジェニー ファックス」の2019春夏コレクションは、母親の人生に焦点を当てた先シーズンから続くストーリー。歳を重ねた母親の体型を表現したという立体的なスカートや肩パッドを誇張したかのようなショルダーはそのままに、舞台を”アメリカの田舎町”に移し、小花柄やストライプ、チェックなどのレトロなパターンやドリーミーな雰囲気を含ませた。  ランウェイに設置されたソファを使ったインスタレーションは、アメリカの田舎町での生活を表現。ソファがちぐはぐになっていたのと、ショーが始まる前にBGMとして流されていた英語の怖い話は、「アメリカの田舎町と言えばよくホラー映画の舞台になったりするので、ホラーを表現したかった」のだという。  また、今回「ヴェトモン(VETEMENTS)」や「バレンシアガ(BALENCIAGA)」などを手掛けるスタイリストのロッタ・ヴォルコヴァ(Lotta Volkova)がスタイリングを行うということでも注目を集めたが、ブランドとの相性は確かに良かったようで、デザイナーのシュエ・ジェンファンは、この出会いを一言で”運命”と表現した。

ショーヘイ(SHOHEI)  オーストリア出身のクリエイティブディレクター、リサ・ペック(Lisa Pek)による「ショーヘイ」 。2017春夏コレクションでデビューを果たしたばかりの新しいブランドながら、すでに「トラノイ」を含むパリの展示会に参加し、ヨーロッパ各国でも注目を集めている。東京という未来都市と、南オーストリアの自然に囲まれたデザインスタジオという対照的な環境を行き来し、それぞれにおけるライフスタイルやカルチャー、テクノロジーから受けるインスピレーションが創作の原点になっているという。  2019春夏コレクションのテーマは”Believers -信じる者たち-”。既存の枠組みにとらわれない人々、未来をあえて創り出そうとする人々=Believersによって勃興するカルチャーへのオマージュを表現した。日本やイタリア、オーストリアなどの上質な素材を使い紡ぎだされる構築的なアイテムたち。シャツ地をTシャツと組み合わせてビスチェのように立体的に見せたり、袖を通さず装飾のようにして着られるアノラックなど、自由な発想で、独自のエレガンスを表現した。

メミューズ(MEMUSE)  でんぱ組.incのメンバーである相沢梨紗がデザイナーを務める「メミューズ」。今シーズンは”ラッピング”をテーマに、女性たちを洋服という包装紙で包み込むようなディテールで、女性の内に秘めたパワーやエネルギーを閉じ込める様子を表現したという。ランウェイに座り込んだベージュの衣装をまとった少女たちは、コレクションの非現実感を際立たせるために人間の生々しさを演出するインスタレーションであった。

相沢梨紗

(左から)茅野誉之(CINOH)、藤田宏行(JieDa)、羽石裕(ANEI)、海外審査員のニック・ウースター、発表会ナビゲーターのマスイユウ、松井信之(Nobuyuki Matsui)、中田優也(POSTELEGANT)、渡部宏一(RAINMAKER)、岸隆太朗(RAINMAKER)
画像:JFWO TOKYO FASHION AWARD  また、同日には「TOKYO FASHION AWARD」第5回受賞デザイナーが発表された。受賞者は、「チノ(CINOH)」の茅野誉之、「ジエダ(JieDa)」の藤田宏行、「アーネイ(ANEI)」の羽石裕、「ノブユキ マツイ(Nobuyuki Matsui)」の松井信之、「ポステレガント(POSTELEGANT)」の中田優也、「レインメーカー(RAINMAKER)」の渡部宏一 / 岸隆太朗の6組。  「TOKYO FASHION AWARD」のこれまでの受賞者には、「LVMHプライズ」のグランプリに輝いた「ダブレット(doublet)」の井野将之などがおり、海外進出への大きな足がかりとなる賞と言える。  受賞者の発表には海外審査員も務めるニック・ウースター(Nick Wooster)氏も参加。「この賞は、日本の文化をヨーロッパやアメリカに発信していける素晴らしい機会だと思います。受賞者の皆さんは、これから海外マーケットに挑戦するにあたっていくつも困難にぶつかるかもしれませんが、これまでの受賞者たちもその困難に打ち勝って成功しています。多くのブランドの中から選ばれ、賞を受賞された皆さんを誇りに思います」と受賞者たちへメッセージを述べた。  受賞者たちは、2019年1月のパリ ファッションウィーク中に開催する展示会「Showroom.com」に参加し、海外のバイヤーたちに自分のブランドをアピールする機会を得る。

サンダーボルト プロジェクト(THUNDERBOLT PROJECT)  2018年10月に始動した、藤原ヒロシ氏率いる「フラグメント デザイン(Fragment Design)」と「ポケモン(Pokémon)」の合同プロジェクト、「サンダーボルト プロジェクト」。ニューヨークで開催されたイベント「ハイプフェス(HYPEFEST)」でのお披露目に続き、アマゾン ファッション ウィーク東京で国内初となる展示イベントが開催された。  渋谷・ヒカリエのイベントホールにて巨大スクリーンによるプロジェクトムービーを公開。その裏側では、本プロジェクトの特別アイテムである、フラグメント デザインのブランドロゴが配されたTシャツやパーカー、キャップなどを展示。同時にハイプフェスのドキュメンタリー映像も公開された。また、年内に国内で予定しているポップアップストアの場所が銀座ソニーパークであることも会場にて発表された。

モール バイ ウォール(MALL by WALL)  アマゾン ファッション ウィーク東京2019年春夏の公式関連イベントとして、ラフォーレ原宿の40周年を記念するイベント「モール バイ ウォール」が開催された。  H.P.FRANCEが運営するラフォーレ原宿1Fのセレクトショップ「ウォール(Wall)」がラフォーレ原宿ミュージアムに1日限りの”引っ越し”をするというコンセプトで、ウォールで取り扱いのある40ブランドがブース出展をし、限定商品の販売やワークショップ、またインスタレーションでの2019春夏コレクション発表を行った。東京ファッションの次世代を担う注目ブランド、「リョウタムラカミ(RYOTAMURAKAMI)」や「パーミニット(PERMINUTE)」、「ボディソング(bodysong.)」などがインスタレーションを開催。入場無料のイベントとあって大勢の人たちが貴重なコレクション発表を間近で楽しんだ。

文・取材・画像:アパレルウェブ編集部
撮影:土屋航(JENNYFAX)、アパレルウェブ編集部 ■ファッションウィーク東京 コレクションをチェック

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