消費増税によるポイント還元で、キャッシュレス決済はどこまで伸びる?

2018年10月19日 08:46

 政府は19年10月の消費税増税を円滑に進め、キャッシュレス決済の利用促進をはかるために、消費者にポイントを還元する施策の検討を進めてきたが、消費者に還元するポイントを拡充する検討に入った。ポイントを付与することで消費者の負担を軽減し、消費増税による経済の落ち込みを防止する。

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 ポイントは商品購入やサービス利用時にクレジットカード等のキャッシュレス決済利用者を対象とし、還元期間は1年程度に設定して個人消費の落ち込みを回避する狙いだ。ポイント付与の規模も当初の2%のまま進めるか、さらに拡大するかも検討する方針だ。

 経済の落ち込み防止策として、(1) 中小店舗でキャッシュレス決済を利用した消費者に、購入額の一定割合をポイントで還元する (2) 「すまい給付金」の対象年収と支給金額を拡充する、住宅ローン減税の拡充と期間の延長も検討する (3) 一定条件を充足した住宅リフォーム費用の一部を補助する (4) 自動車購入者に対する燃費課税を初年度限定で軽減する (5) 低所得の年金受給者に対して支給する最大5000円の開始時期を前倒する、等を検討する。

 ポイントが付与されるのは、消費増税で売上の低下が懸念される中小事業者の店舗に限られる。中小企業庁の分類によると、中小の小売・サービス業は約120万超に上り、中小企業基本法では資本金(5千万円以下)と従業員数(小売業は50人以下)の基準がある。今回対象となる中小事業者は今後検討される。中小事業者の店舗に限定されるのは、消費増税の影響を受けやすいと見られているためで、カード会社に支払う手数料や端末の設置がハードルとなって、キャッシュレス決済への対応も遅れている。今回の施策に合わせて、必要となる端末を無償配布する案も実現が期待されている。

 ポイント還元の対象となるのはキャッシュレス決済で、クレジットカード・電子マネー・QRコード決済が想定されるが、金融機関の口座から差し引かれるカードか、スマホによる決済サービスが有力と目される。

 ポイント還元の原資は国が負担するが、消費増税後も8%の軽減税率が適用される食料品なども対象となる可能性が高く、キャッシュレスサービスをうまく活用すると、実質負担は現在よりも減少することになる。

 消費増税によって将来の財源を確保した上で、増税後に懸念される消費減退を回避し、増税前の駆け込み需要と反動による消費の大幅な減少を抑制する狙いがある。それと共に、世界的にも遅れている日本のキャッシュレス決済を拡大する絶好機と捉えているようだ。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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