ホタルはどうやって光るように進化した?基礎生物学研究所などの研究
2018年10月18日 11:39
ホタルの仲間は、どのようにして光る能力を手に入れたのだろうか。基礎生物学研究所の重信秀治特任准教授、中部大学の大場裕一准教授、別所学博士、そして米国マサチューセッツ工科大学(MIT)などの共同研究グループは、ヘイケボタルとフォティヌス・ピラリスというアメリカのホタルのゲノムを解読し、その歴史の詳細を明らかにすることに成功した。
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ホタルは(機構的な意味で)どのようにして光るかというと、ルシフェラーゼという酵素と、ルシフェリンという基質が反応することで光が発生する。しかし問題なのは、ホタルの祖先は、いつ、どうやって、そんな性質を獲得するような進化を生じせしめたのか、ということである。
結論からいえば、アシルCoA合成酵素と呼ばれる脂肪酸代謝酵素(珍しいものではなく、光らない生物でも普通に持っているもの)の遺伝子が進化の過程で「コピーミス」による重複を起こし、ルシフェラーゼに変化したらしい。
そして、ルシフェラーゼはもう一回遺伝子重複を生じて、一つはホタルの成虫の発光器官において、そして他方は卵とサナギにおいて発光するように進化した。そして、これらの出来事が起こったのは、1億年以上は前であるという。ちなみに、ちょうど1億年前であると仮定すると、中生代であり、恐竜の栄えていた時代にあたる。
さて、研究グループは、ホタルの近縁種である、そしてこれも発光昆虫であるヒカリコメツキのゲノム解読も行った。すると、この昆虫もルシフェラーゼを持っていて(その事実は既知のことであるが)、そしてそのルシフェラーゼも起源はアシルCoA合成酵素にあるが、ホタルとヒカリコメツキの共通祖先が発光能力を持っていたというわけではなく、ヒカリコメツキはホタルとは独立に発光能力を進化させたものであることが分かったという。
なお研究の詳細は、eLife誌に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)