最低賃金改定で企業の約4割が給与体系見直し、約8割が賃上げ実施 TDB調査
2018年10月16日 11:12
帝国データバンクは15日、企業に対して実施した最低賃金改定の意識調査結果を発表。2018年度の最低賃金は前年度より全国平均で26円上がり、最低賃金が時給で決まるようになった2002年度以降、最高の引き上げ額となった。これを受けて企業の44.0%が給与体系を見直し、83.1%が賃上げを行った。
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今回の改定で給与体系の見直しを行った企業の割合は2016年の改定時に実施した前回調査より9.0ポイント増加しており、従来よりも給与体系の変更を促す大きなきっかけになったといえる。なお見直していない企業の割合は40.0%であった。
見直した理由については、収益の改善による社員への還元、人材獲得やその維持、社会保険料の負担増を見据えてといった声が企業からあがっている。人手不足や将来の社会保険負担も給与体系見直しの背景にあると考えられる。
賃上げの内容は定期昇給が62.2%で最多となり、賞与(一時金)が36.4%、ベースアップが33.4%でともに3割を超える結果となった。一方で賃上げを実施していない企業は12.0%にとどまっている。
最低賃金の引き上げは人件費の増加につながるが企業側の抵抗感は薄く、43.8%の企業が労働者たちの生活を考えれば今回の引き上げ額は妥当だと感じていた。ただ消費回復への効果については、ないと答えた企業が54.6%と半数を超え、あると答えた企業は9.0%と1割に満たなかった。
他方、制度で決められている最低賃金と、従業員を採用した時の最低時給の実情との間には乖離がみられた。最低賃金と採用時最低時給の全体平均はそれぞれ874円、975円とその間には101円の差があり、地域によってはより顕著な格差が見出された。
地域別にみるとこの差額は神奈川県で65円と最も小さく、逆に大分県は203円で最も大きい。次いで差額が大きいのは順に愛媛県、長崎県、佐賀県、青森県で、西日本を中心に格差が大きくなっていることがわかる。
ちなみに採用時最低時給が1000円を超えているのは東京、神奈川、大阪だけで、それぞれ1,071円、1,048円、1,010円である。対して最低賃金は東京985円、神奈川983年、大阪936円となっている。(記事:小椋恒示・記事一覧を見る)