なかなか増えない男性の育休取得 出生率への影響とは

2018年10月14日 23:54

 厚生労働省の雇用均等調査によれば、2017年における男性の育児休業取得率は5.14%に留まった。男性の育児休業取得率については20年までに13%を達成する事が政府による目標となっている。しかし現状を見る限り、目標達成が容易ではない実態が窺えるだろう。

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 育児休業を取得できた男性が13%だったのに対し、育児休業を利用したくても利用できなかった男性は30%にも及ぶ。これは3歳未満の子供を持つ20歳代から40歳代の男性に対して行ったアンケート結果だが、育児休暇の希望者がいるにもかかわらず実現化が難しい労働環境にあることが推測できる。

 そもそも日本は諸外国に比べて仕事の休みがとりにくく、有給休暇の取得率も高いとは言えない。数日間の短い休暇を分けて取得する労働者が多い一方、数週間に渡る長期休暇を申請する事は躊躇いがちだ。他の同僚が働いている時に自分だけ仕事を休むという事に対して意識的なハードルもあるだろう。

 育児休業を利用したくてもできなかった男性にその理由を尋ねれば、会社の人手不足や同僚の目が気になってしまうなどの意見が多い。職場の雰囲気を考慮してしまうと育児のために長い休業を申し出る事は難しく、男性の育児休業を表立って推奨しているような企業でもない限り堂々と育児に専念できる環境はなかなか形成されにくい。

 また育児休業の取得率と無関係とは言い難いのが出生率の問題だ。女性の社会進出が盛んになった事も出生率の低下には少なからず影響を与えている。仕事から離れる事ができない現状があれば出産を先延ばしにしたり諦めたりする女性も出てくるだろう。しかしもしもここで男性の育児休業が容易に叶う環境があるとするなら、お互いに仕事をしている夫婦であっても子供を持つ事に対して前向きになれるかもしれない。二人目や三人目を希望する世帯が増える可能性も考えられる。

 男性の育児休業取得のために企業向けのセミナーを開催するなど、様々な所で取得率向上のための取り組みは実施されている。とは言えまだまだ課題が多いのも事実であるため、職場の環境を改善するためにも働く世代の意識向上が必要となる。(編集担当:久保田雄城)

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