TVアニメ『 少女☆歌劇 レヴュースタァライト 』第十二話「レヴュースタァライト」【感想コラム】
2018年10月13日 21:38
記事提供元:アニメコラムサイト|あにぶ
『 少女☆歌劇 レヴュースタァライト 』もいよいよ最終話。あっという間でしたね。筆者は感想コラムを書きながら、じっくりと作品を楽しませていただいておりました。その結果として2つも考察記事を書かせていただくことになりました。
今回は本編のほとんどが華恋・ひかりの2人のやり取りで占められていました。もちろん、ほかの7人も登場はしますがお話の本筋に絡んでいたのは華恋とひかりの2人です。
華恋とひかり、2人の運命はどうなるのか?
そして、2人の約束「一緒にスタァライトする」は叶うのか?
待望の最終話、さっそく見てゆきましょう!
このページの目次
1 華恋・ひかりを待つ7人はお鍋を囲む2 永遠の舞台を演じる機械3 華恋乱入!最後まで飛び入り4 最後の「レヴュー」は見どころ盛りだくさん!5 「かれひか」も告白しちゃうの!?6 キリンの存在と「私たち」7 アニメ『 少女☆歌劇 レヴュースタァライト 』第十二話「レヴュースタァライト」の感想
■華恋・ひかりを待つ7人はお鍋を囲む
どうなるのかが気になりすぎる第12話の冒頭はまさかの料理シーンでした。普段から料理をしているななだけではなく、ほかの舞台少女たちも一緒に料理していましたね。どうやら、みんなでお鍋を作っているようです。
このシーンは「かれひか」以外のカップリングすべてが凝縮されていました。「ふたかお」はネギをめぐってカワイイやり取りをしていましたし、「真矢クロ」は各々が用意した鍋の具材(カニ、エビ)を大事そうに抱えていました。ハラペコ真矢様がいましたね(笑)
まひるは完全に世話焼きお姉ちゃん、ななはいつも通りみんなのお母さんという感じでした。そして、ドヤ顔の純那。
最っ高にキュートでしたね!
お出汁をうまく取れてドヤ顔をする純那ちゃんはカワイイが過ぎました。まじめな女の子のドヤ顔ってなんであんなに魅力的なんですかね?
同じ鍋をつつく7人の姿も描かれていましたね。鍋のかたわらには取り皿が9つ用意されており、みんなで華恋・ひかりの帰りを待っているような描写がなされていました。
なんというか、話数を経る中で9人が仲良くなっていったのがすごく良かったです。前半は「レヴュー」のあれこれもあったからか、もっとピリピリしていたように思います。
7人の、いや9人の絆みたいなものがあのお鍋に現れていたような、そんな気がしてなりません。
あっ、あとカニの爪で遊ぶ「真矢クロ」の破壊力に昇天しかけたのは筆者です。
■永遠の舞台を演じる機械
一方、「運命の舞台」に囚われているひかりは終わることのない永遠の舞台を演じ続けていました。
星を摘むために星を積み上げる。積み上げた星の上で星を望む。星を望むと頭上に輝く星が降りてきて積み上げた星を崩す。この一連の流れを延々と繰り返し続けるひかり。その姿・声はどこか機械じみていましたね。
特に声、というか演技が素晴らしかったです。ひかりの空虚な演技がシーンにバチッとはまっていました。流石三森さんです!
ひかりが演じる舞台。それは「スタァライト」です。フローラとクレールが永遠に離ればなれとなってしまう悲劇の物語を彼女は来る日も来る日も演じ続けていたのです。
決して報われることのない悲しい舞台を彼女はたった一人で演じていたのです。
それは何故でしょう?
ひかりにとって「運命の舞台」は贖罪でした。すなわち、「レヴュー」に参加し「キラめき」を求めたこと。それそのものを自身の罪と捉えました。そして、華恋を含むほかの舞台少女たちを守るために永遠の罪を背負ったのです。
贖罪、自己犠牲、終わりなき舞台。背負わされたものがあまりにも大きすぎます。見ていてつらくなりました。
そんなひかりを救うために現れたのが華恋です!
■華恋乱入!最後まで飛び入り
ひかりの「運命の舞台」に飛び入り参加した華恋。第1話同様に今回も急な乱入を果たしましたね。大胆な参加やちょっと遅れて登場するのは主人公の特権でしょうか?
「運命の舞台」に乱入して繰り返される舞台を経験した華恋は、その空虚さやひかりがたった一人で演じていることに悲しみを感じます。ひかりを想って涙を流す姿に筆者も涙を流しそうになりました。
華恋は必死でひかりに呼びかけます。その涙ながらの呼びかけが「運命の舞台」を途切れさせるのです。ひかりが半年以上繰り返してきた舞台は華恋が飛び入ったことによって崩れました。
やっぱり華恋は状況を変えるんですね。これまでのお話の中で自信を再生産し続けてきた華恋はここ一番の舞台でも状況を変容させちゃうんです。
いやはや、THE・主人公ですな!
■最後の「レヴュー」は見どころ盛りだくさん!
第12話では華恋とひかりによる「レヴュー」が繰り広げられましたが、これがもうすごかったんですよ!
視聴された方はわかると思いますが、見どころがたっぷりと詰まった「レヴュー」でしたね。アクション、セリフ、音楽、演出。どれも語りつくせないほど良いものでした。
それらの素晴らしいポイントから、今回は演出に絞ってその見どころを語ってゆきましょう。ほかの見どころはみなさん自身の目で確認してください。
さて、今回の「レヴュー」に見られた演出ですが、なんといってもそのダイナミックさが魅力ですよね。「星罪のレヴュー」に敗北した華恋が復活したときの演出は大迫力で、実に見応えのある映像になっていたと思います。
東京タワーが突き刺さるシーンはもちろん、「再・再生産」を果たした華恋の後ろに「アタシ再生産」のネオンが出てくるところも胸熱でしたよね。これらのシーンで見られた演出にはこれまでにないほどの勢いを感じました。
それはさながら、ひかりのために飛び入りまでしてしまう華恋の思い切りの良さや猪突猛進っぷりを表現しているようにも思えました。これは華恋の勢いが舞台機構に影響を及ぼしていると考えられるのではないでしょうか? 第7話で「舞台少女の想いに応えるようにして舞台機構が動く」的なことが言われていたので、割と的を射ているように思うんですけどね。
また、戯曲「スタァライト」の新章として幕を上げた「星摘みのレヴュー」に見られた映画っぽい画面比率(「シネスコ」というらしいです)によって、華恋とひかりの最後の戦いがよりドラマチックになっていたように思います。「21:9」という独特な画面比率は画面の上下に黒帯を表示させ、その画面をより画面内の映像であるように思わせてくれました。
あの演出はグッとくるものがありますね。個人的にシネスコを利用してそのシーンをより一層劇的に見せる表現が大好きなんですよ。今年放送されたアニメだと、『ダーリン・イン・ザ・フランキス』でもこの表現があったように思います。
ただ画面の上下に黒帯が入るだけなのに、どうしてここまでドラマを感じちゃうんでしょうね? 華恋とひかりが「ポジション・ゼロ」に至るシーンなんてもう完全に劇場版のラストシーンでしたからね。
最終話の大一番でイイ演出をしてくれました。
本当にありがとうございます。
■「かれひか」も告白しちゃうの!?
「大胆な告白は女の子の特権」なる言葉もありますが、女の子の大胆な発言と言うのはすさまじい威力がありますね。今回はそんな大胆発言がいっぱいありましたよ。華恋とひかりが「レヴュー」中に交わした言葉なんてすごかったですよね。
あれは完全に告白でした。
告白と思しきセリフが登場するシーンは2つありました。ここではそれらのシーンを紹介しておきましょう。
まずは、華恋が「運命の舞台」の再生産をし、突き刺さった東京タワー(舞台機構「約束タワーブリッジ」)を渡るまでのシーンに登場するセリフです。
ひかり「そんなことしたら私の『運命の舞台』に囚われて華恋の『キラめき』も奪われちゃう!」
華恋「奪っていいよ、私の全部」
ひかり「…っ!」
華恋「奪われたって終わりじゃない。なくしたって『キラめき』は消えない。舞台に立つたびに何度だって燃え上がって生まれ変わる!」
華恋「ひかりちゃんを私に、全部ちょうだい!」
うわ、うわぁー!
「奪っていいよ、私の全部」「ひかりちゃんを私に、全部ちょうだい!」って何ですか!? 最高すぎでしょ!
“私の全部をあげるから、あなたの全部が欲しい”
こんなの告白以外の何物でもないでしょうよ!
もうこれだけでも尊さ120%なのに、この作品はさらに追い打ちをかけてきます。それがもう一つの告白シーンです。「星摘みのレヴュー」が幕を開けてすぐのシーン、画面比率がシネスコに変わってすぐのシーンですね。このシーンのセリフは先ほど紹介したセリフを頭に入れたうえでご覧ください。
華恋「”あなたを”スタァライトしちゃいます!」
ひかり「私のすべて、奪ってみせて」
ああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!
すっごい尊い!
華恋の“私の全部をあげるから、あなたの全部が欲しい”という告白に対する返答ですよ、これ!
しかも、普段は「みんなをスタァライトしちゃいます!」なのに、ここだけは「”あなたを”スタァライトしちゃいます!」なんです。みんなではなく”あなた”だけをスタァライトしちゃうんですよ。
は~、良かったなぁ…
第12話は「かれひか」の熱が最高潮に達した回だったのではないでしょうか。秀逸な演出の影響もありますが、本当に素晴らしいシーンになっていたと思います。
■キリンの存在と「私たち」
華恋が「約束タワーブリッジ」を渡るシーンでキリンが大興奮していましたね。テンションの変わりようにビックリしちゃいました。
今回はそんなキリンの正体を示唆するようなセリフが登場していました。
「舞台とは演じるものと観る者が揃って成り立つもの」
「そう、あなたが彼女たちを見守り続けてきたように」
ん? “あなたたち”?
“あなたたち”ってもしかして視聴者のこと? 「私たち」のことだよね?
疑問を残したままキリンのセリフは続きます。
「私は途切れさせたくない。舞台を愛する観客にして運命の舞台の主催者。舞台少女たちの永遠の一瞬! ほとばしる『キラめき』! 私はそれが見たいのです!」
「そう、あなたと一緒に。わかります」
“あなたと一緒に”…?
どう聞いてもキリンが言う”あなた”は視聴者のことを指しています。というか、それ以外に聞こえません。最後のセリフ「あなたと一緒に」は、舞台少女たちの永遠の一瞬や『キラめき』をあなたと一緒に見たい、ということだと思います。
また、キリンは上記の発言をモノローグや独白ではなく、画面の外側にいる視聴者に向けていました。本作において作品内のキャラクターが画面外の視聴者に干渉してきたのははじめてだったので、かなり驚きました。みなさんもビックリされたのではないでしょうか?
この劇中のキャラクターが視聴者に対して干渉してくるという演出は「『第四の壁』の破壊」と呼ばれるものだと思います。「第四の壁」は舞台と観客を隔てている透明な壁のことを指す演劇の概念です。「第四の壁」が舞台と客席を隔てることで、客席やそこで観劇する観客の存在が棄却されます。そして同時に舞台やそこで生きる演者がフィクションの世界の住人として振る舞うことができるようになるのです。
そんな「第四の壁」を意図的に破壊する。すなわち、舞台上の演者が客席や観客の存在を意識して舞台を演じることがあります。それが「『第四の壁』の破壊」です。もっともわかりやすいものとして演者が観客に語りかけるというものがあります。近年は舞台に限らず、アニメやドラマでも「『第四の壁』の破壊」が見られるようになっていますね。
「『第四の壁』の破壊」の実例としては、「古畑任三郎」シリーズの冒頭を思い浮かべてもらえるとわかりやすいでしょう。古畑任三郎は毎回冒頭で視聴者に問いかけてきますよね。その問いかけを契機として物語がはじまってゆくというのが「古畑任三郎」シリーズお決まりの流れです。最近の作品だと、フジテレビで放送されていたドラマ『コンフィデンスマンJP』でも「『第四の壁』の破壊」が使われていました。
キリンが「第四の壁」を越えて筆者を含む視聴者に干渉してきたことと、キリンが視聴者同様に舞台少女たちの輝く姿を求めていたこと。第12話ではこれらのことが一気にわかりました。
それでも、まだその正体は謎に包まれています。今回放送されたアニメでキリンの正体の一端がチラッと見えたように思います。
■アニメ『 少女☆歌劇 レヴュースタァライト 』第十二話「レヴュースタァライト」の感想
さて、2018年夏アニメとして放送されてきた『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』もこれで一旦幕を下ろすことになります。筆者個人は目一杯楽しませていただきましたが、みなさんはどうでしょうか。
アニメは終わってしまいましたが、「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」というコンテンツはまだまだ続きます。今月の中旬には待望の第2弾舞台がありますし、今年の11月末にはスマホ向けゲーム「少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE-」のリリースが決定しています。
ほかにも複数のコミック連載やユニット「スタァライト九九組」のライブ、アニメイトでのオンリーショップ開催、コラボカフェの実施など、実に多様な展開を見せてくれることになっています。
筆者もアニメから本作のことを知った人間なのでまだまだ舞台創造科歴は短いですが、これからもコンテンツ「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」の様々なメディアミックス展開を楽しんでゆきたいと思っています。
みなさんも一緒に”スタァライト”されちゃいましょうね!
TVアニメ『 少女☆歌劇 レヴュースタァライト 』感想コラムのまとめ
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(あにぶ編集部/タングステン)
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