環境・エネルギー触媒の世界市場、排出ガス規制を背景に需要拡大へ
2018年10月13日 17:44
富士経済は11日、環境触媒・エネルギー触媒の世界市場調査結果を発表。触媒は今後多くの需要が見込まれることから、30年には環境触媒が17年比39.6%増の2兆2,017億円、エネルギー触媒が同45.8%増の2兆745億円に達すると予測している。
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触媒とはそれ自身変化せずに化学反応を促進する物質のこと。環境触媒とは環境の保全改善に役立つ触媒技術を指し、排出ガス規制強化が進むなかで自動車用や二輪車用などへの重要性が増している。エネルギー触媒は化石燃料資源をエネルギーに変換する触媒として、石油関連や次世代エネルギー技術に利用されている。
17年の市場は環境触媒が前年比5.1%増の1兆5,768億円、エネルギー触媒が同3.7%増の1兆4,232億円。環境触媒は世界的な自動車排出ガス規制強化の動きから、ガソリン車用やディーゼル車用にて需要拡大が進み、エネルギー触媒は石油化学製品製造用触媒が約50%を占め、中国や中東、アジアを中心に今後も伸長するとしている。
■触媒材料8品目の世界市場
触媒の材料は主にパラジウムやプラチナ、ゼオライトなど8品目から成っている。30年の市場は、17年比59.4%増の1兆9,713億円。
現時点ではパラジウムが60%弱を占め、用途の大半を占めるガソリン車でプラチナからパラジウムへのシフトが進んでいるため、今後も伸長するとしている。プラチナはガソリン車向けの需要が減少するものの、中長期的には燃料電池車向けでの使用増加が期待される。ゼオライトは接触分解用触媒向けで大きく伸びるとしている。
注目市場は以下の通り
●ディーゼル車用触媒(環境触媒)
30年予測は17年比4.0倍の5,799億円。ディーゼル車の普及率が高い欧州が需要の中心であり70%弱を占めているが、今後欧州では特定都市へのディーゼル車乗り入れ禁止措置が取られるため、中長期的には需要は縮小するとしている。
一方、トラック・バスの生産台数は中国やインドを中心に増えており、今後予想される各国の排出ガス規制強化に伴い、それらの国では需要増加が期待されるという。
●アンモニア合成用触媒(エネルギー触媒)
30年予測は17年比50.0%増の75億円としている。現状、肥料用途のアンモニア合成の需要が中心。需要の大きい中国は成熟市場に差し掛かっているが、ロシアやインド、中央アジア、東南アジア、アフリカなどで伸びているという。
今後、新興国の新設プラント向けを中心に市場拡大が期待される。また、最大のアンモニア輸入国であった米国では低価格なシェールガス開発により、プラントの新設が相次いでおり需要が増えているという。