JAXA「はやぶさ2」タッチダウンは来年1月末に延期 考える時間が必要
2018年10月12日 16:34
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11日、はやぶさ2について記者説明会を実施した。10月中旬に予定されていた2回目のリハーサルと、下旬の本体タッチダウンの予定を変更し、中旬と下旬はリハーサルのみを行い、タッチダウン本番は2019年1月末以降に行うことにしたと発表した。
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プロジェクトマネージャーの津田雄一准教授は、「リハーサル2回目を予定している14~15日に、リハーサル1で行う予定だったことをもう一度行いたいと思っている」と語った。その後、10月24~25日はリハーサル3回目に変更し、年内はタッチダウンは行わずに、「11月、12月の合運用中(はやぶさ2と地球が通信出来ない期間)に、一旦落ち着いて考える時間を作りたい」と話した。
はやぶさ2は、9月11日に1回目のリハーサルを行ったが、高度600メートル地点で危険回避のため下降を中止し、上昇する結果となった。このため「LIDAR(レーザ高度計)」が近距離計測モードに切り替わらず、「LRF(レーザーレンジファインダー:光波を使って近距離を高感度で測定する)」の確認ができなかった。
しかしその後、9月19~21日に「ミネルバ2」の分離・運用で、はやぶさ2は高度55メートルまでの下降。9月30日~10月4日の「MASCOT」の分離・運用では、高度51メートルまで下降した。これらによって、LIDAR計測に問題が無いことが確認出来たことと、航法誘導データ、タッチダウン候補地の高解像度観測データを取得したことなど、順調に成果を上げてきている。
だが、50メートルではデータが足りないという。本来、はやぶさ2に搭載されている機器LRFなどを活用するためには、40メートル以下の低い高度が求められる。今後の2回のリハーサルでは高度25メートルまで下降したいと考えているようだ。
またタッチダウンには、100メートル四方で囲まれた第1候補の「L08」の中から、更に絞り込んだ直径20メートルの範囲の「L08-B」と名付けられた部分を候補地点とした。本当は数カ所のタッチダウンを行いたかった様だが、リュウグウの表面はあまりにも岩ばかりの地形で、平面がない。
3回目のリハーサルでは、可能ならば、ターゲットマーカの分離を行う。ターゲットマーカは全部で5個あるが、それを実際に1個落として落下地点の誤差確認などを行い、来年のタッチダウンにつなげたいとしている。
今回の説明会では、「マスコット」切り離しについてもふれていたが、ベルリンでのDLRによる、正式なマスコットの記者会見は、12日17時(日本時間)から行われる予定である。