ワークスタイル変革ソリューション市場拡大 20年度には5千億円超え 矢野経済研究所
2018年10月10日 11:37
9日、矢野経済研究所は「ワークスタイル変革ソリューション市場調査」の結果を発表、国内市場は拡大が続き、2020年度で5千億円を超える見通しと予測している。
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■ 市場規模の推移
市場規模は事業者売上高をベースに算出。2016年度の3,971億4千万円から、2017年度は前年度比5.0%増の4,170億円(推計)に拡大。以降の予測でも、毎年5~7%程度の成長を見込んでおり、18年度は4,458億5千万円、19年度は4,771億7千万円、20年度は5,096億1千万円、21年度は5,336億1,900万円、22年度は5,618億4千万円と拡大を予測している。
■ 現状の労働環境と働き方改革
厚生労働省が発表した2017年度の「過労死等防止対策白書」によると、労働者1人当たりの総実労働時間は減少しているものの、それはパートタイム労働者の増加によると考えられている。実際、パートタイム労働者を除いた一般労働者の年間総実労働時間を見ると2,000時間前後で高止まりとなる。
また年次有給休暇の取得率が5割を超えたのは1999年まで。以降は5割を下回る状況が続いている。
2017年には、長時間労働や労働環境問題から、労務管理システム等の導入に変化が起きた。また2018年7月には、2020年東京オリンピックを見越してテレワーク・デイが開催。取り組みを通してテレワークの浸透が推進され、更に働き方改革が進められている。
それだけではない。コミュニケーションにおけるツール等をクラウドサービスに集約、内線電話をスマートフォンで受信可能にするといったオフィスの改革も進んでいる。
こうした点から、今後は、テレワークに必要なコミュニケーションツール、データや知識共有の支援、これらに対するサービスへの需要が高まると見られている。また、2018年度以降は、初期投資が増大しやすいファシリティ関連ソリューション等や、RPA(作業手順を記憶させるだけで機能する定型業務の自動化システム)導入企業が増加するという見通しも立てられている。
■注目される需要
今回の調査によると、新たな需要としてシェアオフィスやコワーキングスペースが挙げられた。これは、同じ組織に属していない多種多様な人物が、一定の場所をオフィスとして共有する場所のことを指す。
どちらも「働く場所」に違いはなく、移動時間の短縮や移動にかかるコスト削減、自身が所属する組織の人物以外との協働が見込まれている。加えて、多種多様な人々が交流できる場所となる「サードプレイス」としても見込まれている場所だ。今後は、こうしたオフィス創出が進むと推測されている。
異なる場所での働き方でどうコミュニケーションを取るか、知識等を共有するか、効率やセキュリティをどうするか、新たな働く場所とは…様々な点からワークスタイル変革ソリューション市場は堅調に拡大すると予測している。(記事:楽趣みくす・記事一覧を見る)