日産など、EV活用したバーチャルパワープラント構築に向け実証実験
2018年10月7日 22:37
東北電力、日産自動車、三井物産、三菱地所の4社は、電気自動車(EV)の蓄電池を活用し、蓄電池を電力系統に接続して充放電する技術(V2G:Vehicle to Grid)の構築に向けて、2019年3月31日まで共同で実証プロジェクトに取り組むと発表した。
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将来的に普及拡大が見込まれているEVは、移動手段としての利用だけでなく、電気を貯めて取り出せる蓄電池としての利用も始まっている。
今回のプロジェクトでは、このEVの蓄電池機能に着目し、自然条件により出力が変動する再生可能エネルギーのさらなる導入拡大に対応するため、EVの電力需給バランス調整機能としての実現可能性を検証する。
同時に、今後の電気自動車の普及を見据え、移動手段としての利便性を損ねることなく、駐車時にも付加価値を生み出す新たなビジネスモデルの検討等を実施する予定だ。
具体的には、仙台ロイヤルパークホテル(宮城県仙台市)の駐車場に設置する充放電スタンド2台と、電気自動車2台を使用し、新たに開発する遠隔監視・制御システムにより、スタンドに接続された電気自動車の蓄電池の充放電を制御することで、電気自動車の蓄電池が電力需給バランスの調整機能として活用できるかを検証する。
また、実証期間中、EVをホテルの宿泊者などにカーシェアリング車両として提供する。V2Gの実証試験とカーシェアリング事業を通じて得られた蓄電池の使用状況や電気自動車の利用状況等のデータは、新たなビジネスモデルやサービスを開発するための検討に活用していく計画だ。
実証プロジェクトおいて東北電力は、電気自動車充放電スタンドの遠隔監視・制御システムの構築、および将来のV2Gシステムのあり方の検討を行なう。同時にEVの電池充放電が既存の電力系統にもたらす影響なども調べる。
日産は、EVの蓄電池残量や走行データ等の収集・分析とカーシェアリング事業の運営を担う。三井物産は、電気自動車充放電スタンドの設置・運営および電気自動車の電力系統向け需給調整サービス等への活用可能性の検討を実施。三菱地所は、実証場所の提供と電気自動車のホテルや商業施設などにおける活用可能性の検討を行なうとしている。(編集担当:吉田恒)