働き方は改革できるのか 残業時間削減には多くの課題
2018年10月4日 13:09
働き方改革に関する話題は日頃から多くの場面で耳にしているだろう。しかしそんな中、あしたのチーム調べによれば企業の7割には少なからず残業が存在している事が分かった。また残業削減への取り組みに対して、経営側と労働側との間に意識的な乖離もうかがえる。86%の経営者はある程度の満足を従業員から得られていると答えた一方、会社の取り組みに満足している、あるいはやや満足していると答えた従業員は44%に留まった。
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働き方改革が提起される事となった発端は労働者不足にある。労働者を増やすための方針が検討され、その具体的な取り組みには非正規雇用者の地位向上や高齢者の活用などが挙げられている。そして社会全体から見てもより注目度が高いのが、多くの企業で問題となっている長時間労働の是正についてだ。
社会を担っていく若い世代の数は高齢者の数に比べて年々減少していった。その原因を辿っていくと、若い労働者が不足してきた背景には出生率の低下という問題が存在していることに気が付く。出生率が下がった理由も様々あるが、働く女性が増えた現代日本においては仕事が根拠となり出産を躊躇する人も少なくはないだろう。
一つの会社でキャリアを形成してきた女性ほど長時間労働を余儀なくされている現実がある。日本人の働き方と出生率とが密接に関わっている事は否定できず、労働不足の根本的な解消を目指すのであれば長時間労働をはじめとした企業のやり方を社会全体で考え直す必要が出てくる。
2019年4月からは残業時間の上限を超えた企業に対して罰則を設ける方針が打ち出されている。だがこの制度の開始時期は大企業に限られ、中小企業はその翌年の20年4月から開始予定だ。そのため特に中小企業ではまだまだ準備が整っていないケースも多く、残業時間の削減を実現させるためにはいくつもの課題が残されている。
残業が減る事によって生じるデメリットは企業だけではなく従業員側も同様だ。残業代がカットされれば生活が苦しくなるとの声もあり、給与体系の見直しも同時に行っていくべき企業も多く存在するだろう。
出生率への影響のみに留まらず、長時間労働は過労死やうつ病などをもたらす原因にもなっている。従業員に負担を強いることなくどれだけ残業時間を減らしていけるか、そのための取り組みとその姿勢が今後の労働環境のあり方を大きく左右していく事になる。(編集担当:久保田雄城)