日立、AI活用した8大生活習慣病リスクの予測サービス 健康経営に科学の眼

2018年10月4日 16:25

 日立は3日、健康診断データやレセプトデータといった医療ビッグデータを活用し、生活習慣病に起因する将来の入院リスクを予測するシミュレーションサービス「Risk Simulator for Insurance」を開発したことを発表、同日より販売を開始した。

【こちらも】AI生命保険、インシュアテク市場が拡大 矢野経済が調査

 生活習慣病とは、生活習慣が原因で発症する疾患だ。運動不足、偏った食事、過渡な深酒、喫煙などの個人の生活習慣に加えて、職種に起因する不規則な睡眠や外部からの過渡なストレスも加わる。

 厚生省によれば、生活習慣病は、健康長寿の最大の阻害要因であるばかりか、医療費にも大きく影響を及ぼす。医療費の約3割、死亡者数の約6割を生活習慣病が占め、同省では、「健康づくりのための身体活動基準2013施策」も発表している。

 加えて、経産省は4年前から「健康経営」の推進にのりだした。「健康経営」とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考えた戦略的な実践だ。2016年度には「健康経営優良法人認定制度」を創設。原則1業種1社を「健康経営銘柄」として選定する。「健康経営銘柄2018」選定企業は26業種26銘柄だ。

●健康経営の推進

 経産省が作成した2060年までの日本の人口推計では、総人口は1億2,000万人から9,000万人弱まで減少するも、65歳以上の高齢者数は4,000万人弱と横ばいが続く。労働力の減少に伴う経済活動の停滞の懸念が、健康経営の背景にある。

 また、医療費に着目すると、2015年の30兆円から2025年には54兆円へと膨れ上がる。2015年度の医療費30兆円の内、生活習慣病の割合は34.5%とトップだ。生活習慣を改めることは、医療費の削減にも貢献する。

 今回の発表は、ビックデータや人工知能(AI)を用いて、生活習慣病のリスクを予測するサービスだ。

●「Risk Simulator for Insurance」の特長

 医療ビッグデータから有効な分析結果を導き出す。医学的知見やデジタル分析の知見に加えて、多くの医療データの母集団が必要だ。

 日立健康保険組合が保有する約11万人の健診やレセプトデータ、第一生命が蓄積してきた約1,000万人の医療ビッグデータを母集団とし、日立のAIを活用し、200を超える問診や告知事項の要因を組み合わせ、8大生活習慣病の発症リスクを予測する。

 ビックデータ解析やAIの概要説明はないが、10月18日~19日に、東京国際フォーラムで開催する「Hitachi Social Innovation Forum 2018 TOKYO」に展示する。提供開始は10月19日、価格は個別見積りという。(記事:小池豊・記事一覧を見る

関連記事

最新記事