ふるさと納税、2017年の総額は3653億 課題は格差是正
2018年10月1日 09:27
総務省の発表によると、2017年のふるさと納税は3,653億円にのぼり過去最高を記録した。
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ふるさと納税が開始された08年当初、受入額は81億円程度にとどまり期待されたほど大きな税収にはならなかった。その後も微弱な右肩上がりの傾向は見せていたものの国民の関心は高まらず、そこからようやく話題になり始めたのは制度開始から6年後となる2014年の事だ。受入額は前年比2倍以上の増加となり、翌年度以降は急速なふるさと納税ブームを巻き起こしていった。
ふるさと納税には自治体が税収アップを見込めるだけではなく、寄附を行った側も税金の控除というメリットを受けられる。寄附先となる団体は住所に関わらず自由に選べるため、好きな物を購入するだけで節税できるとなればお得感も加わるはずだ。14年と15年を比べると受入額は4倍以上にも跳ね上がっているが、これは国が控除のハードルを引き下げた事も大きな要因となっているだろう。
そしてもう一つ、ふるさと納税が活気づいてきた理由としては返礼品の豊富なラインナップにある。各団体が地元のアピールをしながら特産物等を返礼品としているが、これにより現在起きている問題が地方間の税収格差だ。
ふるさと納税の返礼品は、その還元率の上限が寄付額の3割までとなるよう求められている。また返礼品とするのは地場産品として定められているが、ここから逸脱している団体も多いのが現状だ。高額な返礼品によって集中的に人気を集めている自治体も存在し、還元率がいかに高く、あるいは返礼品がどれだけ魅力的であるかによって地方間の格差が大きく広がってしまっている。
これまでは自粛要請に留まってきた国も、現状を受けてようやく法規制を検討し始めた。しかしそもそもは厳格なルール作りがなされないまま、ある程度放任的な制度として始まってしまった事も大きな問題と言えるだろう。
よりお得な方へと人々の関心が集まるのはやむを得ない。地方間での不公平さが数字として顕著に表れ、ここにきて国もようやく格差是正に乗り出した。だが制度上のルールが曖昧であれば一から正すのも難しい。還元率については数字として目に見えるため規制もかけやすい一方、地場産品であるかどうかは団体ごとの捉え方や言い分によってグレーゾーンが生じやすくなる。より明確なルールを作り上げて公平な制度として成立させていく事が、ふるさと納税における今後の課題と言えるだろう。(編集担当:久保田雄城)