富士通、顧客との“つながるサービス”強化でデジタルイノベーション拡大
2018年10月1日 08:08
9月20日、富士通研究所は、異種業界を超えたデータ流通の信頼性を向上する技術を開発したと発表した。
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富士通はICTを通じて社会を支えることを目指しており、多くの企業や個人が持つ膨大なデータの加工履歴などの情報をブロックチェーン技術の活用により一元管理する基盤を整備しようとしている。これにより単独では困難な、多くのデータの安全・確実な利・活用が可能となり、デジタル社会の発展に貢献することが期待できる。
富士通の前身である富士電機は、発電機と電動機を国産化するため1923年、古川電気工業とドイツのシーメンス社の合弁会社として発足した。富士通は1935年富士電機の電話部所管業務(交換、伝送)を分離して設立され、電話交換機から始まって、パソコン、携帯電話、スーパーコンピュータなどへ進出した。
ICT分野において各種サービスを提供するとともに、これらを支える最先端、高性能、高品質なプロダクトおよび電子デバイスの開発、製造、販売から保守運用までを総合的に提供する、トータルソリューションビジネスを展開する富士通の動きを見ていこう。
■前期(2018年3月期)実績と今期(2019年3月期)見通し
前期売上収益は4兆983億円(前年比2%減)、営業利益は前年よりも650億円増加の1824億円(同55%増)であった。
営業利益増加の要因は、携帯端末製造事業544億円、個人向けインターネット接続事業ニフティその他156億円の一時的な事業譲渡益700億円と前年に比較してビジネスモデル変革費用が340億円減少したことによる合計1,040億円の増益要因に対し、携帯電話基地局への投資減と携帯電話メモリーなど主要部品コスト増などにより本業で290億円減益、海外子会社の法的紛争手続きの結果による損失100億円など合計390億円の減益によるものである。
今期は売上収益3兆9,000億円(同5%減)で、営業利益は事業譲渡益700億円がないことで前期よりも424億円減の1,400億円(同23%減)を見込んでいる。
■「つながるサービス」構築の経営方針の下、コア事業強化戦略の推進
デジタル化が急速に進展しており、企業、政府自治体、研究機関など多様なパートナーと「つながるサービス」を築き、新しい価値を共創するため、下記の戦略により自社のコア事業を強化する。
1.自社クラウドと他社クラウドを快適に使用するマルチクラウド統合運用サービスの推進。
2.グローバルパートナーと多くの企業の多様なデータ活用をしてきた自社のAI基盤技術を結び、パートナーの安全・安心な事業創出支援。
3.サイバーセキュリティリスクマネジメントを強化して顧客の事業継続を支え、リスク管理負担を軽減。
4.デジタル技術と色々な業種・業務の知見を統合した事業軸の推進と地域ごとの推進戦略によりグローバル成長基盤を確立。
5.コア事業へ集中するため、カーナビ、パソコン、インターネット接続、携帯電話製造事業の売却についで、携帯電話販売事業売却などコア事業以外の整理を続行。
製品やサービス、新事業の開発にAIの活用が求められる中、パートナーとの共創により、各企業単独では困難なデジタルイノベーションの支援をグローバルに拡大する富士通の動きを見守りたい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る)