ランの仲間を絶滅の危機に追いやるハエ、神戸大の研究

2018年9月24日 08:21

 神戸大学大学院理学研究科の末次健司特命講師、千葉県農林総合研究センターの福島成樹森林研究所所長と森林総合研究所九州支所の末吉昌宏主任研究員らの研究グループは、多くが絶滅危惧種である植物のランの仲間の種子を、ランミモグリバエという種類のハエが深刻に食害している事実を明らかにした。

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 ランと言えば花の中では比較的有名な仲間である。美しい花を咲かせることから、園芸植物としてよく知られている。ラン科の植物は被子植物の中ではキク科と並んでもっとも種類の多いグループに属し、確認されているだけで2万種を超える。

 しかし、園芸植物としての乱獲や、土地の開発による自生地の減少、あるいはその他の要因から、個体数が激変しているものが少なからずあり、日本国内の野生のラン科植物のうち、実に7割超が環境省レッドリストの指定するところの絶滅危惧種である。

 さて、次はランミモグリバエについて説明しよう。このハエは、ラン科植物の開花のころ、若い果実に卵を植え付ける。孵化した幼虫は果実の中の種子を食べ、さなぎになり、羽化の際に果実を食い破って外に出る。

 要するにランの立場から見れば害虫であるわけだが、厄介な特長が一つある。ランミモグリバエの食害は内部で起こるため、外側から見ただけでは食害されていることを判別することができないのである。そのため、ランミモグリバエがランを食害すること自体は数十年も前から知られてはいたのだが、その詳しい実態は分かっていなかったのだ。

 そこで今回の研究では、約5年の歳月を費やし、マヤラン、サガミラン、キンラン、クマガイソウ、ハマカキランという関東地方に生育する5種のラン科植物について、袋掛けをしてハエの食害を防いだものと、そのまま置いたものとで、種がどれくらいできるかの比較を行ったのであるが、その被害率は、実に95%以上というものであったという。

 なお、研究の詳細は「Ecology」誌に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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