27年ぶりに基準地価が上昇 消費増税も控える中で住宅の「買い時」は?
2018年9月23日 23:10
国土交通省は9月18日、2018年7月1日時点の都道府県地価調査(基準地価)を発表した。前年は0.3%下落した全国の住宅地・商業地を含む全用途平均が、今年は前年比0.1%上昇し、一転して27年ぶりのプラスとなった。主にインバウンドで賑わう観光地や、再開発が進む都市部での上昇が堅調で、地方の主要都市でも高い伸び率を示している。
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商業地は2年連続で上昇しているが、今年は1.1%上昇とさらに伸びた。中でも札幌・仙台・広島・福岡の「地方4市」の伸長が目立つ。上昇率は4都市平均でなんと9.2%。東京・大阪・名古屋の3大都市圏の平均上昇率4.2%を大きく上回った。とはいえ、主要都市でも店舗やホテルの進出が相次ぎ、オフィス需要も増えており、前年の3.5%から伸び率は順調に拡大している。
住宅地は0.3%下落したものの、9年連続で下落幅は縮小している。国土交通省では、雇用・所得環境が改善されていることや、低金利が継続していることが需要を下支えしていると見ており、今後も下落幅の縮小傾向が続きそうだ。公示地価の上昇は景気回復基調を示す良いニュースであるのは間違いない。しかし、その反面では税負担の増加を示唆しているともいえる。とくに影響が大きいと思われるのが住宅業界だ。
住宅金融支援機構が住宅事業者、一般消費者及びファイナンシャルプランナーを対象に行ったアンケート調査をまとめた「平成30年度における住宅市場動向について」によると、住宅事業者の平成30年度の受注・販売等の見込みでは「平成29年度と比べて増加」が59.4%で最も多かった。増加する要因としては「消費税率引上げ前の駆け込み効果」(64.3%)や「景気の回復感が徐々に広がっているから」(20.9%)などが上がっており、逆に減少する要因としては「住宅価額等が高騰しているから」(36.3%)が前回調査よりも15.8ポイント上昇している。また、興味深いのは、増加する要因で「金利先高感があるから」が約10ポイント低下した一方、減少する要因でも「金利先高感がないから」が6.6ポイント下がっており、金利については、上がるか下がるか、不透明感が増している様子がうかがえる。
折しも、来年10月にはいよいよ10%への消費増税が予定されている。住宅の購入を検討している人にとっては「買い時」がいつなのか気になるところだろう。そこで、木造注文住宅メーカーのアキュラホームに「住宅の買い時」と「今、住宅購入を検討する際に注意すること」を聞いてみた。
「住宅の買い時」については、やはり改正前の税率が適用される間がおすすめとしている。しかし、増税前に間に合わせようといたずらに焦るのではなく、将来的な資金計画に納得した上で購入を決めていただきたいと言う。住宅は一生に一度の買い物だ。今は払えると思っても、将来の支出はローンだけではなく、教育費、老後の費用、車の購入、レジャー費などもある。アキュラホームでは、住宅の購入時にこそ、現状を把握し、将来いつごろ、どのくらいの費用がかかるのかを見据えて提案しているそうだ。将来の資金計画が分かれば、自ずと、家庭それぞれの購入のタイミングは分かるはずだろうという。
一戸建て神話は過去の話だとしても、家は一生の買い物であり、家族にとっての大切な居場所であることは、今も昔も変わらない。その価値は、地価ではなく、そこに住まう家族だけが評価できるものなのだ。(編集担当:藤原伊織)