出版不況続く 取次・書店経営、2年連続減収 帝国データバンク調べ

2018年9月22日 20:27

 書籍の売上は1996年をピークに長期低迷傾向が続いている。2004年からは13年連続でマイナスと、出版業界を取り巻く環境は厳しい。そんななか、出版取次業者および書店経営業者の経営・企業実態を分析すべく、帝国データバンクが調査を実施。2017年度の総売上高は出版取次・書店経営業者ともに減少。売上規模10億円未満が全体の約9割を占めることが判明した。

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 調査対象は、2018年8月時点で出版取次および書店経営を主業とする企業2,528社。

■いずれも売上減少、電子媒体への移行が顕著に

 2017年度の総売上高は2兆5,906億3,000万円(前年度比4.3%減)と2年連続の減収。2015年度に一時的に増加したものの、減収傾向は変わらない。このうち、出版取次は1兆3,860億8,900万円(同6.2%減)で5年連続の減収。書店経営は1兆2,045億4,100万円(同 2.1%減)で2年連続の減収となった。

 電子書籍市場の拡大が、とくに出版取次に打撃を与えているようだ。売上規模については、1,071社(構成比49.3%)が「1億円未満」。出版取次・書店経営ともに、売上高10億円未満の業者が全体の約9割を占めた。

■業界への新規参入少なく

 業歴は、「50~100 年未満」が1,159社(構成比45.9%)と最多。出版取次では52.7%、書店経営では57.4%の企業が50年以上の業歴をもつ。歴史のある企業が多く、業歴10年未満の新興企業は4%程度しかない。従業員数に関しては、「1~10人未満」の企業が最も多い。出版取次・書店経営どちらも75%以上の企業が「1~10人未満」と少人数での運営を行っている。調査対象2,528社について、都道府県別の社数をみると、「東京都」が362社(構成比14.3%)、「北海道」が130社(同 5.1%)、「大阪府」が118社(同4.7%)だった。

 同社は、出版業界においては今後も減収傾向が続くと予測。紙から電子へと媒体移行が進むなか、リアル書店には特色ある経営が求められそうだ。(記事:西舘妙子・記事一覧を見る

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