プラスチックごみが世界を覆い尽くす前に、何ができるのか?(前編)

2018年9月21日 15:55

 大手外食産業ではプラスチック製ストローを全廃する動きが広がっている。米スターバックスは、20年までに全世界の店舗で使い捨てのプラスチック製ストローを廃止する。米マクドナルドはイギリスとアイルランドで紙製のストローに切り替える。プラスチック製ストローの廃止が世界の潮流になりつつある。

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 8月にはすかいらーくホールディングスが年内にファミレス「ガスト」全店舗1370店でプラスチック製ストローを廃止することを発表した。ドリンクバーのストローを撤去し、原則グラスだけの提供とする方針だ。子供や障がい者と、ストローが欠かせないメニューには紙製代替品の提供を検討している。その後、20年までに国内3200店舗で廃止するという。

 世界に広がるプラスチック製ストロー廃止の動きは、中国がゴミの輸入方針を転換したことに起因する。中国は国内の製造業者の原料不足に対応して、外国からの資源ごみを輸入しリサイクルしてきた。しかし、国内産業が発達したことに加えて、環境問題や公衆衛生に対する国民の意識の変化もあって、輸入する資源の品目を選別する姿勢を強め、17年末にはプラスチックゴミを含む24種類に及ぶ廃棄物の輸入を停止した。

 今まで無頓着に中国にプラスチックごみを輸出していた各国は持って行き場を失い、自国内でのごみ処理問題という難問にぶち当たったため、6月にカナダで開催された主要7カ国(G7)首脳会議で「海洋プラスチック憲章」を採択するに至った。

 プラスチック製品が廃棄されて海洋に流れ出ると、紫外線や太陽光、波などの影響で次第に微小な「マイクロプラスチック」というブラスチックごみに変化する。推定では、年間約800万トンもの量が海洋に流れ込んで深刻な海洋汚染が進行している。海洋生物の体内から検出されるマイクロプラスチックの事例は増加している。そうした微小なマイクロプラスチックは魚や鳥等の食物連鎖を経て、濃縮された状態で人体に取り込まれることが杞憂ではなくなりつつある。世界経済フォーラム(通称:ダボス会議)では「適切な対策がとられないと2050年までに海洋のプラスチックごみは魚の総重量を上回る」という予測で世界に衝撃を与えた。

※世界経済フォーラムはスイスのリゾートであるダボスで毎年1月末に開催される年次総会をメインとする。約2500名の選出された知識人、ジャーナリスト、企業経営者、国際的な政治指導者などが、世界が直面する健康や環境問題を含めた重大な問題を議論する。「世界の現状の改善に向けて取り組む」ことをミッションにしている。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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