ブロックチェーン関連世界市場、22年には18年比10倍以上に IDC Japan
2018年9月18日 11:20
ビットコインの技術的基盤として注目を浴びるようになったブロックチェーン。遡及的なデータ改ざんができないなどの特徴によって多くの分野で新しい決済手段の可能性が指摘されている。日本ではもっぱら投機対象としてのイメージが強いが、現在メガバンクを中心に取り組まれているフィンテックの中核的な技術でもある。
今後、急速な拡大が予測されるブロックチェーンの動向について、5日、IT調査業のIDC Japanがブロックチェーン関連市場の予測を発表した。
レポートによれば、2018年の世界のブロックチェーン関連支出額は15億ドルと推計され、22年には117億ドルへと大幅に拡大するとみられている。中でも支出額の大きいユースケースは、取引での許認可を必要としないクロスボーダー取引での決済や漏洩情報の経路を特定できる来歴管理、貿易金融・ポストトレード決済などの分野だ。
国内におけるブロックチェーン関連支出は、本年18年には49億円と推計され、5年後の22年には545億円へと10倍以に急拡大するものと予測されている。米国IDCのリサーチマネージャーのステイシー・スーフー氏は「ブロックチェーンへの強い関心は、地域の枠を超え世界共通である。企業や組織は、このテクノロジーをビジネスに適用する可能性を追及し続けている」と述べている。
ブロックチェーンへの支出を地域別にみると、米国が最大のブロックチェーン投資が見込まれる地域で全世界の支出額の36%以上を占めると予測される。次いで西ヨーロッパ、中国、そして日本と中国を除くアジア太平洋地域の順となる。一方、日本は22年までの平均成長率が108.7%、カナダは同86.7%と大幅な成長が予測されている。
産業分野別では、金融セクターが18年に5億5200万ドルで、今後の拡大を主導すると見込まれ、特に銀行での導入が強い促進要因となると予測される。また流通部門では18年に3億7900万ドルで、小売および専門サービスによる手堅い投資が見込まれ、製造等では18年に3億3400万ドルで、組立製造およびプロセス製造が投資を牽引すると予測される。
IDC Japanリサーチマネージャーの小野 陽子氏は「今後、サプライチェーンへのブロックチェーン導入を始めグローバルな取り組みの拡大などを受けて、国内でのブロックチェーンへの投資も急速に増加するであろう」と指摘している。(編集担当:久保田雄城)