全国に悪役を派遣!ヒーローの救世主『株式会社 悪の秘密結社』とは?
2018年9月16日 21:23
日本各地に「悪役」を派遣する『株式会社 悪の秘密結社』を知っているだろうか。
最近よく耳にする「ご当地ヒーロー」たちだが、「悪役」までは予算がまわらないのが実像だ。そこで『株式会社 悪の秘密結社』が誕生。地方のヒーローたちを“輝かせる”ために、「悪役」専門の派遣会社として現在注目されているのだ。
■九州発、悪役専門派遣会社
九州・福岡市内のとあるビル。ここには、どこか愛嬌のあるマスクが特徴的なキャラクター「ヤバイ仮面」を社長に据えた『悪の秘密結社』がある。実はこの会社、日本で唯一「悪役」だけで組織された“ヒーローショー”の制作会社。つまりは、日本各地に悪役を送り込む「悪役専門の派遣会社」なのだ。
自社で製作したオリジナルの悪役キャラには、前述した「ヤバイ仮面」の他に「メイド執事」や「修羅王丸」など、個性的な“悪の構成員”が30体以上も揃う。なかには社用車兼怪人として製作された、国産高級車ベースの「車と恋は急に止まれないマン」など、ネタか本気か迷うような怪人もいるようだ。
■ご当地ヒーローを輝かせるために
この会社を立ち上げたのが、笹井浩生氏(28歳)だ。笹井氏は2年前、生命保険を解約したその資金で『悪の秘密結社』を起業。ヒーローではなく「悪役専門」とした理由は、ご当地ヒーローなら誰もが抱える深刻な“悪役不足”問題だった。
2000年に入ると、町おこしや地方アピールのために「ご当地ヒーロー(=ローカル・ヒーロー)」が多く生まれた。完成度の高い秋田県の『超神ネイガー』や千葉県の『鳳神ヤツルギ』など、一度はその名を聞いたことがあるかもしれない。こうして現在に至るまで、地方自治体、組合、企業、商店街、個人などにより、日本各地には多くの“ヒーロー”が誕生していく。
ところが、彼らには共通の悩みが存在していた。それが“悪役不足”だ。少ない資金でヒーローを生み出したとしても、彼らと戦う“悪役”までは手が回らないのが実像。しかし、ヒーローは「悪役」が居てこそ光り輝く存在だ。そんな彼らのいわば救世主として誕生したのが、この『悪の秘密結社』なのである。
最近ではNHKでも取り上げられるなど、メディアからの注目も高まっているようだ。悪役によりヒーローが輝き、それによりご当地や地域が盛り上がる。隙間産業ともいえる彼らこそが、ヒーローたちにとって本物の「ヒーロー」なのかもしれない。(記事:高塔・記事一覧を見る)