企業売上高はリーマンショック前水準に戻らずも利益は上回る 東京商工リサーチ調査
2018年9月14日 12:01
東京商工リサーチは13日、リーマンショック後の国内企業の業績に関する調査結果を発表。2007年度の業績を100とし、2017年度までの10年間におけるその数値の推移を調べた。結果、2017年度の全企業の売上高合計は98.8とリーマンショック前の水準には未だ達していないなか、利益は顕著に増加していることがわかった。
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全企業のうち上場企業の売上高は94.4で、非上場企業の売上高は101.4である。それぞれ2008年度に94.9と95.1、2009年度に81.2と86.7に下がって以降、上昇傾向にはあったが、結局売上高が100を超えたのは2017年度の非上場企業のみとなった。
ただ利益をみると、売上高とは違った変化をしているのがわかる。全企業の利益合計は2008年度に100から18.1に一気に下がり、以後は年を経るごとに回復していった。2013年度には前年度の79.7から120.7へと大幅に上昇し、2017年度では162.0となっている。上場の有無で分けると、2017年度の上場企業は165.6、非上場企業は158.4だ。
この10年の変遷からは、全企業の売上高が概ね80から100の間を小幅に変動しながら推移する一方で、利益は一度大きく落ち込んだあと、再び伸びていった様子が窺える。
地区別利益は2013年度以降に全地区で100を上回るようになった。特に東北は2011年度までに3回利益合計がマイナスとなったが、東日本大震災の復興需要を受けて2012年度には215.5まで急激に回復。2017年度には363.7と全地区トップの利益を出した。
産業別にみると、利益においては建設業の伸びが上場企業と非上場企業のどちらでも著しく、2017年度は前者で678.4、後者で423.4とほかを引き離して高い。なお産業は復調してきており、上場企業では農・林・漁・鉱業以外、非上場企業では農・林・漁・鉱業と小売業以外の利益が100を超えた。200を超えている産業も複数ある。
総じてみれば売上高はある程度持ち直すもその回復ペースは鈍くなっている。対照的に利益は大きく伸びており、それには公共投資や震災復興、東京五輪に伴う需要増加に後押しされた建設業がとりわけ寄与しているとみられる。
なお今回の調査は、東京商工リサーチが保有する企業データベース(約480万社)を活用し、リーマンショック前の2007年度(2007年4月期~08年3月期)から2017年度(2017年4月期~18年3月期)まで11期連続で単体の業績比較が可能な26万5,763社を抽出して行われた。(記事:小椋恒示・記事一覧を見る)