H&MがWWFと連携 環境に優しいキッズコレクションを発表
2018年9月13日 17:33
H&Mは自然環境保護団体であるWWFと提携して、野生生物をデザインした子供用の「WWF x H&M キッズコレクション」を販売すると発表した。環境に配慮した素材で作られたスウェットやレギンス、ワンピースなどが揃い、売上の10%がWWFの保全活動に寄付される。9月27日からH&Mオンラインサイトおよび各小売店にて販売される。
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水やCo2の排出について一定以上の評価を受けた工場でのみ生産を行い、原料もリサイクル品を使用するなど環境に配慮した製品づくりを目指す。
キッズコレクションのデザインにはヒョウやペンギンなど野生動物が図案されており、ファミリー層への訴求効果も期待される。世界50カ国以上で販売が展開される予定であり、世界規模での事業展開となりそうだ。
H&MとWWFが目指すのは「持続可能な製品づくり」だ。今回の一連の商品作りは、95%が自然環境に負荷を与えない原材料で製造されている。枯渇の恐れのある自然資源を使わずに持続可能な製造・販売を行うことで、企業イメージにプラスの影響がでそうだ。
H&Mは業界の中で先陣を切って「100%循環型のファッション業界の実現」を掲げており2030年までに販売する全ての商品を自然への負担を軽減した素材にするという方針を打ち出している。WWFとは2010年に海洋保全をテーマにTシャツを中心として共同キャンペーンを実施しており、また翌年には「水資源管理に関する協業」を打ち出している。今回の協業を発表することで、H&MとWWFの連携をより強くアピールする姿勢がうかがえそうだ。
また今回の協業の特徴は、ファッションデザインを通じて環境保護のインパクトをより強めようという狙いもある。デザインとして用いられる動物はトラ・ヒョウ・シロクマ・クジラ・ゾウ・ペンギンなどとなっているが、いずれも絶滅の恐れがあるものばかりだ。子ども向けにデザインされていると同時に、これらの商品を買うことで環境保護に貢献できるという購買動機にもつながるだろう。
WWFにとっても今回の協業のメリットは大きい。H&Mの商品を通じてWWFが主張する環境保護を世界的に広められれば、運営資金の調達につなげることができる。ファッションと自然保護が提携することで成功する事例を示せれば、他の産業との連携も期待できるだろう。
H&Mの製品には中国で製造されたものもあるが、その中国では環境汚染に悩まされている地域が多い。中国には海外からの製造工場が多く林立しており世界屈指の工業生産力を誇っているが、まだ環境保護の法整備は整っていない。生産工場の中には製造過程で出た排水をそのまま河川に流している場合も多く、中国の河川や湖沼が汚濁するなど深刻な影響が出ている。今回のキッズコレクションでは製造工場に対して一定の水質管理基準を設けることで、こうした環境汚染を防ぐ効果が期待できる。
(記事:藤原大佑 ・記事一覧を見る)