待機児童が4年ぶり減少 10年ぶりに2万人下回る

2018年9月13日 11:40

 厚生労働省の発表によれば、4月1日時点での保育待機児童の数は1万9895人となり10年ぶりに2万人を下回った。2017年の同時期と比較しても6186人減少した計算で、待機児童解消のための対策に一定の効果が出た格好だ。

【こちらも】待機児童問題を保育士確保の方法から考える

 しかし待機児童の解消を目指す政府の道のりは前途多難だ。待機児童の数が突出して多い東京都でも待機児童は減ってきているが、まだまだ解消には程遠い。というのも、保育を担う保育士の数がなかなか増えないからだ。そのため多くの認可保育所が開設されても、許容人数が大きくは増えないため待機児童の解消に至っていないのが現実だ。これには待機児童の数え方も大きく関係している。待機児童は認可保育所に入れずに待機している子どもの数を示しているのではない。入所をあきらめて親が離職して面倒を見ている子どもや認可外の保育所などに入所させた子どもの数はこれに含まれていないのだ。つまり認可保育所のキャパシティが広がって受けいれられる子どもの人数が増えると、今まで認可保育園へ入所させるのをあきらめていた親も再度入所に挑戦するようになるため待機児童の早期解消は困難なのだ。

 加えて保育士を増やすことに伴う保育の質の低下も懸念される。保育士の待遇改善がなされなければ子供一人一人にしっかり向き合った保育を行うことは困難だ。ただ保育士の雇用を拡大するだけではなく、保育士が専門性を身につけたり、より質の高い保育を行えるような教育体制を整えることが求められるだろう。

 さらに民間レベルで議論されてるのが、一定規模のマンションを建設する際には内部に保育所を整備するという案だ。大規模なマンションが建設されると数百世帯が入居することになり、当然保育の需要が高まる。近隣の認可保育所だけではとても足りず、結果として待機児童が増えることにもつながる。待機児童の問題解消に一筋の光明が差してきたところで、保育士の教育の強化や民間業者の保育への関心を高めることなどより一層高度な対策が求められているのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)

関連記事

最新記事