ふるさと納税制度見直し、高額返礼の規制強化へ

2018年9月13日 11:55

 総務省は自治体に寄付をする代わりに返礼品を受け取れる、いわゆる「ふるさと納税」について、制度の見直しや返礼品への規制強化を検討する。返礼品を高額にすることによってより多くの寄付金を獲得しようとする自治体同士の競争激化に歯止めをかけるためだ。

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 ふるさと納税は自分の故郷や応援したいと思っている自治体に寄付をすることによって、その自治体から返礼品が受けられるという制度だ。返礼品は商品券や旅行券、アクセサリーなど一般的に良く見られるものから、高知県高岡郡四万十町の四万十うなぎ蒲焼のセットや岩手県陸前高田市のブランド米「たかたのゆめ」などその自治体にちなんだものも多い。さらにふるさと納税の手続きをすると、その寄付金は所得税や住民税の控除対象となるというメリットもある。そのため多くの人が自分の故郷や魅力的な返礼品が受けられる自治体へふるさと納税を行っており、2008年度は約81億円だったふるさと納税の金額は17年度には約3653億円へと急激に上昇している。

 しかしこの返礼品をめぐって大きな議論も巻き起こってきた。というのも、自治体が豪華な返礼品を用意してより多くの寄付金を得ようという動きが活発化してきたからだ。自治体同士が寄付金を奪い合う状況が生じていることを受けて、今年7月には総務省が寄付金額の3割を超える返礼品を自粛するように呼び掛ける事態となった。しかし自治体の中には総務省の呼びかけに応じず、ふるさと納税の金額の3割を超える返礼品を続ける自治体もある。そこで総務省はより規制を強化し、返礼品の見直しの意向を示さない自治体も公表することとなった。

 ただし返礼品については自治体にも言い分があるのは事実だ。すべての自治体が同じ返礼品を送っていたのでは他の自治体との差別化は図れない。寄付金を集める、地元産業をアピールするなどの目的がある以上、オリジナリティのある返礼品を用意したいと思うのは当然のことだ。こうした点から総務省の規制強化に疑問を投げかける識者もいる。今後はふるさと納税の本来の意味が失われないよう、国と自治体双方の熟慮が必要となるだろう。(編集担当:久保田雄城)

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