ブルネロ・クチネリ、本社のあるソロメオ村修復事業を完成

2018年9月7日 19:13

 「ブルネロ・クチネリ(BRUNELLO CUCINELLI)」は、9月4日(現地時間)、本社のある伊ウンブリア州ペルージャ県ソロメオ村にて、2014年に発表した同村の修復事業計画「A Project for Beauty」の実現・完成のお披露目イベントを行った。  1985年の本社移転とともに始まったソロメオ村の修復事業は、まずは村の修復(古城、教会、住居など)からアートフォーラム(劇場、ライブラリーなど)の造営、そして、ソロメオ職人学校の開校――と進められてきた。2014年11月には第二期修復事業として、村に面した谷側の地に3つの公園を造営するという計画を発表、翌年より工事を開始し、約4年弱の月日を経て、この度完成およびお披露目に至った。

 3つの造園とは、本社を含む敷地に約11ヘクタールの「産業公園」、サッカー場を含む約6ヘクタールの「スポーツ・運動公園」、果物、ワイン、野菜などを栽培した約70ヘクタールの「農業公園」から成り立つ。村の中にあるアートフォーラムや学校と同様に、「スポーツ・運動公園」は一般に開放されており、また「農業公園」で穫れる作物や加工品は地産地消用となっていて、地元の人や同社の社員に還元することを目的としている。これは人間主義を掲げる同社の経営方針に繋がるものであるとともに、この村の尊厳を取り戻すと言う夢の集大成といえる。

 この理想郷の完成について、同社のブルネロ・クチネリCEO兼会長は「私がいつも夢見ていたのは、人としての道徳的尊厳と経済的尊厳を保持しつつ働くことでした。念頭にあったのは、地球に害を与えずものづくりをし、正当な利潤と倫理、尊厳、道徳をもって正当な利潤をあげることです。そのためにも、人々が美しい環境で働き、少しばかりよい報酬を手にし、自らもその夢の共同責任者として尊敬されていると感じる必要があります。(中略)ご存知のように、郊外の劣化が世界中で問題になっています。しかし、それらの地区が居心地の良い場所になる可能性は大いにあると思うのです。私は、そうした場所から、素晴らしい市民性・人間性、精神性の再生が始まると信じています。ソロメオでは目的を達成することができたと感じています。(中略)私たちの村で成し得たこと、それはとても素晴らしいことだと私には思えます。しかしそれは何も特別なことではなく、イタリア、ヨーロッパ、あるいは世界中の似たような状況でも試せるはずだと確信しています」と語っている。  同社のこの取り組みは、地方創生のロールモデルとして業界内外から注目をされている。

画像:ブルネロ・クチネリ
取材・文:田中美貴 ■「ブルネロ・クチネリ」公式サイト
ブルネロ・クチネリ ソロメオ村修復事業

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