2020年新卒採用、4社に1社が「AI採用」を導入・検討

2018年9月7日 12:00

 多数の人材候補の中から自社にとって優位な人材資源となり得る者を採用するという過程は統計学的課題である。言うまでもなく統計的な処理はAIが最も得意とする領域だ。

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 かつては過去の実績と経験を下に出身大学で志望者をクラス化して絞り込んでから個々のケースを評価するという手法が主流であった。これがいわゆる学歴主義として社会から批判されたものの経済学の分野からはむしろ合理的な手法として評価されるに至った。そして現在AIを用いた人事採用は既に始まっているようだ。

 人材サービス業のヒューマネージが2020年3月卒予定の大学生、大学院生の新卒採用について企業の採用担当者を対象に実施した調査の結果を先月30日に公表している。

 今年3月からスタートした19年卒の新卒採用においてはAI を利用した書類選考、AIによる面接など、既に採用活動にAIを導入しているケースが多数見られた。

 レポートによれば、AIを新卒採用に「既に導入している」と回答した企業は全体の5.4%存在する。さらに「導入が決まり準備中」と「検討中」の企業も合わせると合計26.3%となり、新卒採用でAIの導入に着手している企業は4社に1社を超えている。

 AI採用に積極的な企業は採用人数が多い企業ほど増加する傾向がみられ、採用人数が「10 名以下」の企業と「101 名以上」の企業を比較すると「10 名以下」ではAI採用を導入済もしくは検討中の企業が11.6%であるのに対し、「101名以上」の企業では44.5%と約4倍の企業がAI採用に積極的に取り組んでいる。これはAI処理が統計学的な処理であることからも当然の傾向と言える。

 当然のことながら多くの課題にも直面しているようだ。「AI採用に関して課題に感じていること」を複数回答で答えてもらったところ、「活用のイメージがわからない」が42.2%で最も多く、次いで「具体的な進め方がわからない」34.6%、「導入コストが高い」31.7%、「マンパワー不足」23.5%、「専門家がいない」15.0%、「社内の理解が得られない」10.9%など、自社に専門知識を持った者が不足しているため、プロセスや効果など具体的なイメージがつかめない現況であることがうかがえる。

 レポートでは「19年卒の新卒採用は、様々な企業様がAI採用に取り組み、まさにAI採用元年と言えるシーズンだった。今回の調査結果より、20年卒の新卒採用においても、特に採用人数の多い企業様が牽引役となって、AI採用はさらに拡がると予想される」と考察している。(編集担当:久保田雄城)

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