企業のハラスメント防止規程作成 パワハラは56.4%、セクハラは69.3% 大幅増
2018年9月6日 08:44
5日、労務行政研究所が発表した「民間企業440社にみる人事労務諸制度の実施状況」の結果によると、主要18制度の内、2013年の前回調査と比較して最も率が伸びたのは「パワハラ(モラハラ)防止規程」の作成状況だった。
【こちらも】職場でパワハラを受けた経験、50.2%があり 連合調査
■ハラスメント防止規程の作成状況に大幅な伸び
「パワハラ(モラハラ)防止規程」の作成状況は56.4%。前回は33.2%だったため、23.2%の上昇となる。対して「セクハラ防止規程」は69.3%。前回は49.5%だったため19.8%の上昇だ。
パワハラ、セクハラともに防止規程の作成状況に大幅な伸びが見られた。ハラスメントは昨今、多くの業界で問題が浮上している。社内環境の改善を目指し、防止規程の作成を進める企業が増えたのだろう。
なお両方作成している企業は56.1%、いずれか一方のみ作成している企業は13.4%、いずれも作成していない企業は30.5%。半数以上が両方を作成していると分かる。
■働き方改革等で注目を集める旧姓使用、フレックスタイム制、在宅勤務制度の実施率
旧姓使用の実施率は67.5%。前回調査からは3%の上昇。規模別に実施状況を見ると1,000人以上71.9%、300~999人69.6%、300人未満62.0%。
フレックスタイム制の実施率は35.5%。前回からは6.1%の下降。規模別に実施状況を見ると1,000人以上52.5%、300~999人29.7%、300人未満25.8%。
在宅勤務制度の実施率は11.8%。前回からは3.9%の上昇となった。規模別では、1,000人以上22.3%、300~999人9.4%、300人未満4.9%。
旧姓使用は企業規模が異なっても概ね実施率が高い。しかしフレックスタイム制は1000人未満から大きく割合が減り、在宅勤務では1000人未満になると10%を切っていた。どちらも大企業を中心に導入が進んでいると伺える。
■定年制実施率は12.7%、
61歳以上の定年制実施率は12.7%。前回調査では7.5%だったため5.2%上昇している。また、定年制を実施していると回答した企業52社の「定年年齢として定められている年齢」内訳を見ると最多は65歳で73.1%だった。
■残り12制度の実施率推移
残り12制度の実施率は以下の様になった。
・目標管理制度: 79.3% -2.5%(前回調査比以下同)
・メンタルヘルス対策: 74.5% -0.3%
・契約社員制度: 71.1% +5.7%
・社内禁煙運動(分煙化含む): 52.0% -8.7%
・eラーニング: 45.7% +14.4%
・独身寮: 35.5% -8.4%
・服装・染髪に関する社内規定: 32.7% +9.8%
・メンター制度: 32.0% +0.7%
・役割等級制度: 30.9% +3.3%
・役職定年制: 29.5% -4.6%
・計画年休付与制度: 21.8% -4.8%
・社有社宅: 20.7% -8.7%
調査は1月15日~4月10日に実施。7,739社(全国証券市場の上場企業3,830社と資本金5億円以上または従業員500人以上の非上場企業3,909社の合計)のうち回答があった440社を集計した。(記事:楽趣みくす・記事一覧を見る)