NYの視点:全米8月製造業指数は14年ぶり高水準、関税にもかかわらず

2018年9月5日 07:40


*07:40JST NYの視点:全米8月製造業指数は14年ぶり高水準、関税にもかかわらず
米供給管理協会(ISM)が発表した8月ISM製造業景況指数は61.3と、低下予想に反して7月58.1から上昇し、2004年5月以降14年ぶり高水準となった。貿易論争が継続するする中、製造業の需要は第3四半期も一段と強まり、2018年下半期の経済も強い成長が見込まれる。一方で、輸出入の鈍化は、貿易論争の激化が具体化されつつあることを示している。米国のトランプ政権は早くて7日にも中国商品2000億ドルに追加関税を課す方針。中国も報復措置を講じると見られている。

企業が貿易関税による潜在的な混乱を懸念する中、同指数の生産や雇用項目は上昇。生産は63.3と、1月来で最高となった。ただ、サプライチェーンや運輸で雇用がひっ迫しているため、潜在的な生産が抑制されていることも明らかになった。雇用は58.5。7月56.5から上昇し、2月以来で最高となった。輸出は55.2と、7月55.3から低下し、10カ月ぶりの低水準となった。輸入は53.9と、7月54.7から低下し、昨年9月来の低水準。

ISM製造業調査委員会のティモシー・フィオレ会長は「他の問題にもかかわらず、経済は力強く前進している」としたが、「企業は通常、第3四半期に来年度の投資を計画するが、一部の企業は主要な資本投資を躊躇する可能性がある」と警告。経済サイクルが最終局面にあること、貿易関税による逆風に直面していること、雇用者不足、供給抑制を織り込んでいることを理由に挙げた。

●8月ISM製造業景況指数
PMI:61.3(7月58.1)
新規受注:65.1(7月)
生産:63.3(58.5)
雇用:58.5(56.5)
入荷遅延:64.5(62.1)
在庫:55.4(53.3)
顧客在庫:41.0(39.4)
仕入れ価格:72.1(73.2)
受注残:57.5(54.7)
輸出:55.2(55.3)
輸入:53.9(54.7)

ISM指数の強い雇用は、今週末に労働省が発表する8月の雇用統計で、好調な結果を示唆。米商務省が発表する国内総生産(GDP)と類似したモデルを使用していることで常に注目されるアトランタ連銀の7−9月期国内総生産(GDP)見通しは+4.7%に従来の+4.1%から引き上げられた。4−6月期の+4.2%に続き、当面は強い成長が期待されドルを支える。米国の経済の7割が消費で占められるため、全米のサービス業動向を示す、ISM非製造業景況指数にも注目が集まる。《CS》

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