暴走するかのように星々を生み出すモンスター銀河 国立天文台の研究報告

2018年9月4日 20:43

 国立天文台を中心とする国際研究チームは、124億光年の彼方で爆発的に星を作っているモンスター銀河COSMOS-AzTEC-1をアルマ望遠鏡で観測し、形成初期の銀河においてかつてない高解像度で分子ガスの地図を描き出すことに成功した。

【こちらも】115億光年彼方にあるモンスター銀河の集団を発見―東大・梅畑豪紀氏ら

 この地図を解析した結果として、このモンスター銀河では、銀河全体にわたって分子ガス雲が潰れやすくなっており、大量の星々が暴走的に生まれている様子が観測できるという。

 モンスター銀河というものは、現在の宇宙に存在するいわゆる銀河、すなわち巨大楕円銀河の祖先にあたる銀河と考えられる。したがって今回の研究成果は、巨大楕円銀河の誕生の秘密を探ることにつながると考えられる。

 そもそもモンスター銀河とは何かということだが、初期の宇宙に存在していた、激しいペースで星を生み出す銀河のことである。現在の銀河(たとえば我々のいるこの天の川銀河)においても新しい星は誕生するが、モンスター銀河において星が生まれる頻度は、ざっとその1,000倍ほどになるという。

 どのようにしてモンスター銀河はそれほど大量の星を生み出すことができるのか、その謎はまだ明らかになっていない。

 その謎に挑むため、研究チームはモンスター銀河COSMOS-AzTEC-1に含まれる星の材料、つまりガスが放つ電波をアルマ望遠鏡で詳細に調査した。すると、ガス雲が潰れようとする重力とガス雲を内部から支える圧力を比べたところ、重力の方がはるかに勝っていること分かった。

 これは、大量のガスが一気に潰れて大量の星を生み出している、つまり、星形成が暴走しているということを意味している。

 なお、なぜそのような状態にあるのかは分からないが、一つの可能性としては、銀河の衝突があったのではないかと考えられるという。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

関連記事

最新記事