NasaとSpaceX、民間宇宙船の打ち上げの準備が最終段階に
2018年9月4日 07:34
米航空宇宙局(NASA)は1日、民間宇宙ベンチャー企業のSpaceXと、宇宙飛行士を乗せた初めての打ち上げの準備が最終段階に入ったことを伝えた。SpaceXは、PayPalの創業者のひとりであり、電気自動車大手企業のテスラのCEOであるイーロン・マスク氏が立ち上げたことで知られる。
【こちらも】NASA、米民間宇宙船による初の有人宇宙飛行に乗務するクルー9名を発表
■民間企業と協働でおこなう有人宇宙飛行
NASAは、人類を宇宙へ輸送するシステムの開発と飛行に関する「商業乗員輸送プログラム」を実施し、米ボーイングとSpaceXとともに、民間宇宙船の打ち上げに参画する。ボーイングが開発を進めるスターライナーと、SpaceXが開発したクルー・ドラゴンが有人飛行用の宇宙船に選ばれた。
「商業乗員輸送プログラム」の背景には、NASAが有人宇宙船を現在運用していないという事情もある。スペースシャトルは2011年に退役したため、現在ロシアの有人宇宙船ソユーズの助けを借りる必要がある。有人宇宙飛行を民間企業と協働で実施することは、ロシアに支払うべき多額の費用の削減につながる。
■SpaceXの創業者はイーロン・マスク氏
2002年に創業したSpaceXは、人類をほかの惑星に移住させることを最終目的に掲げた宇宙ベンチャー企業だ。自動運転システムを搭載した電気自動車を販売するテスラを率いるイーロン・マスク氏が手掛けることもあり、注目が集まっている。
SpaceXが開発した宇宙船ドラゴンは2017年、同社が開発した打ち上げロケット「ファルコン9」により、国際宇宙ステーション(ISS)へのドッキングに成功している。今回NASAとの協働で有人試験飛行を実施、最終的にはISSへのドッキングを行なうとしている。
■ボーイングに先立って有人宇宙飛行を実施予定
ボーイングのスターライナーもまたSpaceXのクルー・ドラゴン同様有人宇宙飛行を目指すが、有人試験飛行のスケジュールが延期された。今年6月の試験飛行で燃料漏れが見つかり、有人試験飛行の実施は遅れる見通しだ。クルー・ドラコンが最初の民間企業による有人宇宙飛行を実施することになる。
クルー・ドラゴンに乗船しISSに向かうNASAの宇宙飛行士は、ボブ・ベンケン氏とダグ・ハーレー氏。クルー・ドラゴンを搭載したファルコン9は、当初2017年に打ち上げ予定だったものの、2019年4月に打ち上げることが8月3日にNASAにより発表されたばかりだ。(記事:角野未智・記事一覧を見る)