AI生命保険、インシュアテク市場が拡大 矢野経済が調査

2018年9月3日 11:31

 日本人の生命保険離れということが言われている。実際、世帯ベースでの保険加入率は年々低下傾向にある。理由は様々言われているが、その一つが晩婚化の影響である。これを裏付けるように20代、30代の加入率は5割程度までに落ち込んでいる。

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 そもそも収入の安定した職種に就かなければ加入できないといったケースもあり、そうした者もカバーできる新しい商品の開発も必要だという者もいる。一方、人生100年時代に医療保険の潜在的な需要は大きいであろう。こうした人をターゲットにした商品開発も必要だ。

 8月27日、矢野経済研究所が生命保険領域における国内InsurTech(ITを用いた保険サービス)市場の調査結果を公表している。

 2018年度の国内InsurTech市場の規模は参入事業者の売上高ベースで690億円の見込みである。中でもAIなどを活用した業務の効率化・高度化ソリューションが市場をけん引している。また、従来にはない生命保険会社による健康状態で保険料が変動する健康増進型保険や保険医療的な提言も行う疾病管理プログラムの開発に向けたデータ収集などが進んでいるようだ。

 現在、大手生命保険会社を中心に健康増進型保険の開発のための健康診断データやライフログデータなどの収集が進められている。さらに、外資系の生命保険会社では疾病管理プログラムの充実に向けてスマートフォンアプリや重症化予防プログラムなどを含めたサービス開発を今後加速させていくとみられている。

 また、保険の支払い業務や引受査定などの事務の効率化・高度化を目的としたAIやRPA(業務自動化ロボット)の導入が進んでいるほか、健康増進へのサポートや重症化予防に関する情報提供など未病から予後の重症化予防までにおいてITを活用したさまざまな商品開発が急速に進んでいる状況だ。

 さらに、健康増進型の保険などをベースに健康関連のエコシステムが複数開発されており、今後こうした領域が市場を牽引し、生命保険領域における国内InsurTech市場は拡大していく模様だ。

 こうした分析からレポートでは、国内InsurTech市場の規模は21年度に1790億円に達すると予測している。(編集担当:久保田雄城)

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