ディスプレイ端末の世界市場、有機ELのAMOLEDが伸長 中国メーカーの量産整備

2018年8月31日 09:28

 富士キメラ総研は29日、ディスプレイデバイスの世界市場調査結果を発表した。有機ELの一種であるAMOLEDが伸長、液晶ディスプレイであるTFTも依然堅調としている。

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■ディスプレイ関連デバイス12品目の世界市場

 18年の世界市場は、AMOLEDがスマートフォンでの採用増加で伸長するが、TV向けのTFTの価格が下落するため、17年比4.4%減の14兆7,402億円と縮小する見込み。TFTはスマートフォン向け、TV向けにおいて大幅な拡大はみられないものの市場の中心にあることは変わらない。

 今後はスマートウォッチ・ヘルスケアバンド向け、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)・スマートグラス向け、車載ディスプレイ向けが市場をけん引するとしている。有機ELのAMOLEDはスマートフォンでの採用増加により中小型が先行拡大しているが、今後はTV向けも徐々に採用が広がる見込み。市場全体では横ばいが続き、23年には同2.1%増の15兆7,461億円と予測している。

 注目市場は以下の通り

■TV向けディスプレイデバイス

 市場の大部分をTFTが占めているが、OLED-TVが消費者に認知されつつあることから、OLED-TVに採用されるAMOLEDが伸長していくという。現状では量産できるパネルメーカーが少ないが、需要に伴うパネルメーカーの生産ライン強化により単価が下がることで、普及が進むとしている。

 18年見込みは、市場全体では17年比1.3%減の2億5,400万枚、うち、AMOLEDは同64.7%増の280万枚だが、23年予測では、市場全体は同1.3%増の2億6,090万枚である一方、AMOLEDは同8.4倍の1,420万枚としている。

■スマートフォン向けディスプレイデバイス

 17年はTFTが縮小したものの「iPhone X」向けをはじめ、高価格なフレキシブルAMOLEDが普及、全体もプラスとなったという。18年はスマートフォンの生産調整などの影響から全体が縮小するものの、19年以降、フレキシブルAMOLEDを中心に中国メーカーの量産体制が整うため、価格が下落することで普及が進み、拡大に転じるとしている。

 18年見込みは、市場全体では17年比1.4%減の15億6,500万枚、フレキシブルAMOLEDは同30.6%増の2億500万枚。これが23年では、全体では同6.9%増の16億9,600万枚、フレキシブルAMOLEDは同4.2倍の6億6,250万枚と予測している。

■HMD・スマートグラス向けディスプレイデバイス

 18年は17年比16.9%増の735万枚を見込み、23年は同8.1倍の5,090万枚と予測。

 16年に立ち上がったHMD(ヘッドマウントディスプレイ)の市場は、17年にゲーム機やPCへの接続型を中心に拡大し、18年のスタンドアロン型の新機種投入によりさらに伸長するとみられる。スマートグラスは18年にサンプル評価を行っていた企業が本格的な導入を開始しており、BtoB向けを中心に拡大が見込まれるという。

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