ラグビー平尾誠二さんの「人を叱るときの4つの心得」

2018年8月27日 17:47

 これはすでにいろいろなところで取り上げられていて、多くの人に共感されているものなので、ご存知の人も多いかもしれません。
 私もたまたまテレビで流れているのを見て思い出したところです。

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 この「人を叱るときの4つの心得」は、ラグビー日本代表として活躍し、2016年に53歳の若さで亡くなった平尾誠二さんを偲ぶ会で、親友でノーベル賞受賞者の山中伸弥博士がおこなったスピーチの中で紹介されました。
 その内容は、以下のようなものです。

 (1) プレー(行動)は叱っても人格は責めない。
 (2) 後で必ずフォローする
 (3) 他人と比較しない
 (4) 長時間叱らない

 見ればみんなが納得できる内容で、「ああその通り」という感じだと思いますし、こうやってポイントを絞って的確に整理しているのもすばらしいです。

 ただ、これらすべてを実践するのは、そう簡単なことではありません。
 私自身が自己評価をしてみると、(3)の「他人と比較しない」と(4)の「長時間叱らない」は何とかできていると思いますが、(1)と(2)は、一応意識はしているものの、相手が触れられたくないことに触れていることもあり得ますし、フォローすることが漏れてしまっている可能性もあります。
 これはあくまで自己評価なので、もしも他人が評価したら、もっと低い点数になってしまうかもしれません。

 これらを実践することが難しい一番の理由は、受け止め方の基準すべてが、叱られている相手の感じ方次第だからです。
 人格を責められたと感じていないか、フォローしてもらったと思っているか、ちょっとしたニュアンスで誰かと比較されたと感じていないか、どのくらいの時間だと長時間にあたるのか、それぞれのとらえ方は人によって違うはずです。
 そして、たぶん平尾さんもそうだったと思うのですが、この4つの心得を基本に置きつつ、選手一人一人がどんな捉え方をしているのかを常に観察していたはずです。

 例えば、他人との比較には敏感な人も鈍感な人もいますから、相手に応じて言い方を変えるでしょうし、フォローのしかたによっては、叱ったことの打消しやご機嫌取りになりかねないので、言い方や言う時期、内容にはいろいろ気を配ったことでしょう。

 叱ることによって、本人の気づきや認識の変化があり、行動改善や能力アップにつながればよいですが、この方向を間違うと、萎縮や迎合、モチベーション低下といったことも起こり得ます。
 「4つの心得」という旗を掲げ、その上で各メンバーへの対処をして、最適解を得ようとしていたのは、まさに優れたリーダーだと言えます。

 この山中伸弥博士のスピーチの最後に、「君のようなリーダーと一緒にプレーでき、一緒に働けた仲間は本当に幸せです」と話されていました。本当にその通りと思いますし、リーダーの役割がいかに大事かという証でもあるでしょう。
 リーダーの言動や行動、態度の一つ一つが、メンバーたちに大きな影響を与えていることを、リーダー自身は十分に認識しなければなりません。

※この記事は「会社と社員を円満につなげる人事の話」からの転載となります。元記事はこちら

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