【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(4):◆半導体関連の戻りに注目◆

2018年8月26日 10:15


*10:15JST 【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(4):◆半導体関連の戻りに注目◆
〇3つの上値抑制要因も、日本株出遅れ是正進むか〇
23日の米株市場は小幅反落して終わった。注目の米中協議は「公平でバランスが取れ、相互主義的な経済関係の実現」について意見交換したとの声明に止まり、トランプ大統領が示唆していた通り、大きな進展は無かった様だ。中国の商務次官クラスでは権限がなく、米国の意向を探る格好だったと思われる。むしろ、22日遅くに中国国営メディアが、習主席が12年以降の中国の宣伝活動は「完全に正しい」と発言したことを伝え、失望を招いたと思われる。23日から、第2弾の高関税政策が発動された。習主席は「インターネットは道徳的に正しくあるべきだ」と述べ、統制強化の姿勢を強調している。

トランプ大統領を巡るスキャンダル、元選対本部長の有罪判決、元顧問弁護士の不正行為は、中間選挙に向けての暗雲として意識されているようだ。上下両院の共和党過半数維持を目指す中間選挙の情勢に跳ね返るようだと重量感が増す公算がある。

今晩のジャクソンホール会合でのパウエル演説も様子見材料となっている。トランプ大統領がFRBの利上げシナリオを「好ましくない」と発言しており、市場の利上げ観測は9月は9割強の確率ながら、12月は6割強に止まる。12月利上げ攻防に手掛かりが得られるかが注目点。なお、23日の債券相場は、10年債利回りは2.8279%と小幅上昇、2年債利回りは2.6203%で、2-10年債利回り差は20bp程度にある。07年以来の歴史的低水準。30年債利回りは2.9802%に低下しており、依然「3%の壁」は健在で、米経済を失速させない金利水準を探る動きが続いている。ただし、ドル円相場は連動しておらず、ボックス圏内での調整的動きと受け止められる。

米株小反落の中で目立ったのは二点。一つは新安値より新高値の方が多い(米国は52週高安)こと。S&P500指数では25銘柄が高値、1銘柄が安値。ナスダックでは高値137、安値32。日本株は是正過程にあるとは言え、昨日(全市場ベース)も安値82、高値39.。日本市場でも個別調整から個別物色の地合いに戻って来られるかが焦点。

もう一つはSOX(フィラデルフィア半導体)指数が+0.12%と逆行高を維持した点。指数は概ね1300−1400ポイントゾーンにあり、昨日は1356.13と中間点にある。高関税第二弾が半導体などを中心としており、米国に続いて豪州が中国通信機器大手ZTEとファーウェイの次世代「5G」への参入禁止(安全保障上)を決めたことで、反応が注目された。データセンター需要などのスーパーサイクル論の強気とスマホ・ショック以来の弱気論が交錯する状況にある。

日本市場では、半導体・電子部品株が崩れる場面が年初来、数波動あり、その度に地合いが悪化した。代表銘柄東京エレクトロン(8035)は7月5日(17520円)以来、安値を割り込んではいないが依然安値圏に止まる。この辺りに見直しの動きが出てくるかどうかが目先の反発力を測る物差しになると考えられる。


以上


出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(18/8/24号)《CS》

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