フィルムシートの世界市場、22年には17年比10.5%増に PE系は年率3%成長

2018年8月24日 21:36

 富士キメラ総研は23日、フィルム・シートの市場調査結果を発表した。フィルム・シート39品目の世界市場は18年には5,584万トン、17年比0.1%減の15兆5,523億円が見込まれるという。市場は最も規模の大きいPE系フィルムがけん引し、22年には6,304万トン、同10.5%増の17兆2,004億円と予測している。

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 今後の成長率が高いのはアクリル系フィルム(光学用)、COP・COCフィルム、TPUフィルム・シート。アクリル系フィルム(光学用)は偏光板保護フィルムとしての採用が増加し、COP・COCフィルムはLCD需要に加え、単価の高いOLED向けが増加しているという。TPUフィルム・シートは衣類や自動車内装材で採用が増加している。

 また、フィルム・シート47品目の国内の市場は大幅な拡大がみられないが、18年は17比5.9%増の1兆6,859億円を見込み、22年は同10.0%増の1兆7,501億円を予測している。 COP・COCフィルムは高価格なOLED用位相差フィルムとしての採用が増加、生分解性プラスチックフィルム・シートは農業用マルチフィルム向けが好調であるという。PVDFフィルムも建材などを中心に採用アプリケーションの増加が期待されるとしている。

■PE系フィルム

 PE系フィルムは市場規模が最も大きく、安く大量生産が可能なため、レジ袋やごみ袋などに使用されている。

 世界市場については、2018年は17年比0.4%増の4兆5,550億円を見込んでおり、その後も新興国の経済成長などから容器・包装向けを中心に年率3%の拡大が続き、2022年には同14.8%増の5兆2,078億円になると予測している。

 一方、国内市場は、コンビニ向け包装などが中食市場拡大により増加しているが、環境問題などからレジ袋やごみ袋使用枚数が減少するなど全体では縮小が続いていた。18年は値上げなどにより17年比9.2%増の4,318億円と増加を見込むが、以降は横ばいが続き、22年は4,320億円と予測している。

■アクリル系フィルム(光学用)

 国内市場は中小型ディスプレイ向けを中心に堅調な拡大を持続。世界市場はTVの採用増加により22年には17年比76.9%増の405億円と予測している。

■TPUフィルム・シート

 TPU(熱可塑性ポリウレタン)フィルム・シートは耐摩耗性や強度などから雑貨や衣類を中心に需要がある。国内市場は自動車や医薬品など高機能品での採用が増加、今後は微増を予測している。海外市場は自動車向けが好調。耐摩耗性の高さなどから今後も堅調に拡大すると予測している。

■生分解性プラスチックフィルム・シート

 生分解性プラスチックフィルム・シートは土に埋めると微生物の働きにより環境負荷を軽減することができる特徴を持つ。

 国内市場は伸長し、農業用マルチフィルム向けが大部分を占めているという。現在はコスト高により農業法人や大規模な農家を中心に採用されているが、今後は中小規模の農家でも採用が進むとみられ、さらなる拡大が期待されている。海外市場は環境負荷に意識の高い欧州を中心に伸長しているという。

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