「こうのとり」に搭載の小型衛星3機がJAXAに 民間宇宙団体も開発に参加
2018年8月22日 21:13
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、こうのとり7号機に搭載する予定の3機の超小型衛星が引き渡されたことを報告した。6日から9日にかけてJAXAに引き渡された衛星は、9月の発射に向けて搭載を実施、21日に種子島宇宙センターに向けて出荷された。
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「こうのとり」はH-IIBロケットによって打ち上げられる無人の宇宙船だ。食糧や衣類、実験装置などを、地上約400キロメートル上空の軌道上にある国際宇宙ステーション(ISS)に届ける。地球や天体の観測、宇宙での実験や研究を担うISS計画は、日本を含む15カ国が協力するプロジェクトである。計画に参加する各国はISSに送る物資の輸送分担が決まっており、日本はこうのとりを年1機程度打ち上げている。
こうのとりは直径約4メートル、全長10メートル弱で、観光バスが収まるサイズだ。2015年2月に欧州の無人補給船が退役したため、物資補給能力を有するのは日米露の3カ国のみである。これまでこうのとりは6機打ち上げに成功し、9号機まで打ち上げが計画されている。
こうのとりに搭載される3機の超小型衛星には、九州工業大学とシンガポール南洋理工大学が共同で開発したもののほか、リーマンサットスペーシズや静岡大学が開発した衛星が含まれる。これら3機の超小型衛星は小型衛星放出機構内の衛星搭載ケースに収納され、ISSに輸送される。
超小型衛星を開発した団体のひとつであるリーマンサットスペーシズは、「CubeSat」と呼ばれる小型人工衛星を開発する民間宇宙団体だ。2014年12月に創業し、宇宙に夢抱くビジネスマンの居酒屋での会話に端を発して起業した異色の団体。民間では困難とされている宇宙開発のなかから、着手しやすいCubeSatの開発に注目し、活動を続けている。
リーマンサットスペーシズの開発した超小型衛星「RSP-00」のミッションは、衛星搭載カメラによる画像撮影や地上送信技術の実証、新型高速無線機の動作実験だという。約10センチメートル四方の立方体のCubeSatのなかには、リーマンサットスペーシズの開発した製品が詰まっている。宇宙専用に開発された製品ではなく、電気街で誰もが気軽に購入できるRaspberry PIなどを使用するなど、工夫の跡が垣間見える。
こうのとり7号機は9月11日7時32分頃、種子島宇宙センターから打ち上げが予定されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)