東アジア最大の望遠鏡「せいめい」が完成、京大岡山天文台
2018年8月20日 18:42
京都大学などが同大岡山天文台に建設を進めてきた、東アジア最大の光学赤外線望遠鏡「せいめい」が完成し、17日に公開された。せいめいという名前は、平安時代に活躍した陰陽師の安倍晴明から名付けられたものである。
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せいめい望遠鏡は、晴天率が高いと言われている岡山県の、浅口市と矢掛町の境界に位置する京都大学岡山天文台に設置された。宇宙からの光を受け止める主鏡は、口径3.8メートルあり、18枚のガラスセラミックス製の鏡を組み合わせた国内初の分割鏡方式になっている。一枚鏡より製作が簡単で、大型化しやすいなどの利点がある。
京都大学自ら設計や組み立てを手がけ、総事業費は約15億円と同規模の望遠鏡の半分以下に抑えて製作された。
せいめい望遠鏡は、架台部分を鉄製フレームの骨組みにすることで超軽量化を図り、突発的な天体現象の発生時に、すぐに目的の天体へ望遠鏡を向けることができるという利点がある。例えば、ガンマ線バーストと呼ばれる爆発現象は、NASAなどのガンマ線宇宙望遠鏡が観測すると瞬時に世界中の研究機関に通知されるようになっている。また、毎日、全天から数個の情報が寄せられており、こうした情報は発生源の特定にすばやく取りかかることが必要とされている。せいめい望遠鏡では1分で焦点を合わせることが出来るため、ガンマ線バーストの構造解明や、宇宙の原理解明につながる可能性があると期待される。
この望遠鏡は長時間モニター観測にも使用できるため、 太陽系外の惑星探査にも適している。また、赤外線望遠鏡は暗い天体の観察に適しているため、京都大学では「せいめい」の名の通り、生命のいる惑星を世界で最初に発見したいという野望を持っている。
カメラも京都大学で製作しており、分割鏡の傾斜測定に用いるシャックハルトマンカメラが使われている。
8月末から試験観測が始まり、観測可能な日数(年間、180日程度)の半分を京都大学が利用し、残る半分の時間を全国の大学などによる共同利用とすることになっている。